ずっと持っていたい本『私の書庫』ーお菓子の基本

お菓子の基本

ここで紹介する本は、独学の方から修行を積んでいる方まで幅いろい方に読んでいただきたい本です。

世の中には沢山のレシピが出ていますが、それらのレシピはアレンジのアレンジを積み重ねたレシピです。何事も基本が大事ですが、例に漏れず『お菓子づくり』も基本が大切です。

なぜなら、基本が出来ていることで、応用がいくらでも利くようになってくらからです。ここでは3冊の『お菓子の基本が詰まった本』を紹介します。

私自身、お菓子を突き詰めて、結局のところ『基本となるお菓子がシンプルで美味しいな』という所に辿り着きました。

おすすめの理由

基本を習得する事でお菓子に対する自信が持てる。
基本を習得する事でお菓子作りを効率的に行うことができる。
基本を習得する事で応用がきくようになる。
基本を習得する事で、的確な判断ができるようになる。

『菓子屋の仕事』は 毎日同じ作業 を繰りかえす仕事です。

しかし、その作業は『気泡との勝負』『微妙な焼き時間との勝負』だったりと、的確な判断やスピードが大切になるシチュエーションも多く存在します。

これらのシチュエーションにうまく動けるようにならないと、美味しお菓子が作れません。基本を習得し、毎日作る お菓子の違い を把握して、科学的にも分析して行きましょう。理解すると、お菓子づくりがどんどん楽しくなります。そして、安定したお菓子が出来るようになります。

私は、シンプルに美味しいと思える『基本を大切にしたお菓子』が好きです。お菓子と正に向き合い『ピンポイントのおいしさを追及する菓子職人』でありたいと思っています。

そんな私のおすすめする『基本を習得する本』は以下の3冊です。

プロのための製菓技法 生地

出版

共著 /
金子 美明(カネコ ヨシアキ)
藤生 義治(フジウ ヨシハル)
魵澤 信次(エビサワ シンジ)
森本 慎(モリモト シン)
菅又 亮輔(スガマタ リョウスケ)
出版 / 誠文堂新光社

2010年に誠文堂新光社より刊行された『プロのための製菓技法 生地』に菅又亮輔氏のレシピを加え、48頁増やして増補改訂した一冊。

■目次
Partie1 Pâte Brisée / Pâte à Foncer パート・ブリゼ/パータ・フォンセ
Partie2 Pâte Sucrée パート・シュクレ
Partie3 Pâte Feuilletée パート・フイユテ
Partie4 Pâte à Génoise パータ・ジェノワーズ
Partie5 Pâte à Biscuits パータ・ビスキュイ
Partie6 Pâte à Cakes パータ・ケーク
Partie7 Pâte à Choux パータ・シュー
Partie8 Pâte Levée パート・ルヴェ
Partie9 Pâte à Meringues パータ・ムラング
Partie 10 Pâte à Crêpes パータ・クレープ
Partie 11 Pâte à Frire パータ・フリール
コラム 生地づくりの注意点

この本はお菓子の基本となる11の生地で構成されています。
それぞれの生地を使ったお菓子を5人のトップパティシエがレシピとともに紹介する、実践的な1冊です。

注目したいのは、この5人のシェフは古典を大切にしたお店の展開をされているところです。
古典には『基本』が沢山つまっています。その古典を大切にされている
シェフ達の『基本への解釈』を知ることができることが貴重です

お菓子づくりには 基礎・工程・各生地の特徴・注意点がありますが、
同じお菓子でも、作り手により解釈が変わってきます。そのシェフ・そのシェフのお菓子作りにおける考え方が垣間見えるのも、この本の楽しいところです。

どの生地も現場で働く上で必ずと言っていいほど、作られている生地です。実際に働いている中で疑問に思ったことを ”照らし合わせてみる” ことのできる『最適な一冊』です。綺麗な写真と共に解説してあり、とても親切な教科書です。

おすすめポイント
お菓子の基盤となる11の生地が網羅されている。
5人のトップパティシエがレシピとともに紹介。
古典を大切にお店を展開されているシェフ達の解釈を知ることができる。
シェフのお菓子作りにおける考え方が垣間見える。

プロのための製菓技法 クリーム

出版

共著 /
興野 燈(キョウノ アカシ)
藤巻 正夫(フジマキ マサオ)
日髙 宣博(ヒダカ ノブヒロ)
菅又 亮輔(スガマタ リョウスケ)
中山 洋平(ナカヤマ ヨウヘイ)
出版 / 誠文堂新光社

2012年に刊行された『プロのための製菓技法 クリーム』に中山洋平氏のレシピを加え、48頁増やして増補改訂した一冊

目次

Partie1 Crème Chantilly クレーム・シャンティイ
Partie2 Crème Pâtissière クレーム・パティシエール
Partie3 Crème au Beurre クレーム・オ・ブール
Partie4 Crème Diplomate クレーム・ディプロマット
Partie5 Crème Mousseline クレーム・ムスリーヌ
Partie6 Crème d’Amande クレーム・ダマンド
Partie7 Crème Frangipane クレーム・フランジパーヌ
Partie8 Crème Anglaise クレーム・アングレーズ
Partie9 Crème Ganache クレーム・ガナッシュ
Partie 10 Crème Chiboust クレーム・シブースト
Partie 11 Meringue Italienne ムラング・イタリエンヌ
コラム クリームづくりの注意点

この本は上記のお菓子の基本となる11種類のクリームで構成されています。
それぞれのクリームを使ったお菓子を5人のトップパティシエがレシピとともに紹介する、実践的な1冊です。

生地は古典が基本ですが、クリームは冷蔵庫が開発されてから発展しました。『プロのための製菓技法 クリーム』を共著されている5人のシェフはレストランやホテル・町場での経験も豊富なクリームのスペシャリスト達で構成されています。

『ときには主役』『ときには引き立て役』と役割を変えるクリームを5人のシェフの思い入れの詰まったお菓子で紹介。美味しく作るための手順やポイント・魅力をそれぞれのシェフの解釈で知ることが出来ます。

『プロのための製菓技法 生地』同様、どのクリームも現場で働く上で大切です。実際に働いている中で疑問に思ったことを ”照らし合わせてみる” ことのできる『最適な一冊』です。綺麗な写真と共に解説してあり、とても親切な教科書です。

おすすめポイント

お菓子の基盤となる11のクリームが網羅されている。
5人のクリームのスペシャリストがレシピとともに紹介。
レストランやホテル・町場での経験豊富なシェフ達の解釈を知ることができる。
シェフのお菓子作りにおける考え方が垣間見える。

洋菓子生地の事典

出版

掲載店 / パティスリー イチリン 国立店/パティスリー 雪乃下/クイーン洋菓子店/パティスリー スリール/クール・オン・フルール/エトワール・ドゥ・神戸/パティスリー トロンコローニ/パティスリー クリ/パティスリー アビニヨン/パティスリー ショコラトリー マ・プリエール/神戸旧居留地 美侑/アルカイク/サロン・ドゥ・シェフ タケエ/イグレックプリュス+/メゾン・ド・プティ・フール/パティスリー モン・プリュ/ル ジャルダン ブルー/ソルレヴァンテ/パティスリーカフェ スヴニ-ルママン/ドゥブルベ・ボレロ

出版 / 旭屋出版

洋菓子の“生地”にテーマを絞った稀有な一冊。注目パティスリーで扱う100種類の生地の配合や考え方をプチガトーへの使用例と共に紹介。定番生地7種類の基本技術も学べる。

◆「パティスリー別 プチガトー図鑑」
プチガトーの構成を紹介
◆「20人の人気パティシエが語る『私の生地づくり』」
20人のパティシエの生地に対する考え方を紹介

目次

  1. パータ・ジェノワーズ
  2. パータ・ビスキュイ
  3. パータ・ビスキュイ・サンファリーヌ
  4. パータ・ビスキュイ・ジョコンド
  5. パータ・スフレ
  6. パート・シュクレ
  7. パート・サブレ
  8. パート・ブリゼ
  9. パート・フィユテ
  10. パータ・シュー
  11. メレンゲ
  12. パータ・ババ
  13. パータ・ケック

この本は注目パティスリーの100種類の生地とプチガトーへの展開が一挙に公開されている一冊です。

20軒の注目パティスリーで実際に扱う計100種類の生地を13項目に分類して紹介。生地1種類につき、写真、材料と分量、焼成の温度と時間を掲載。さらに、開発のイメージなど生地についての考え方がわかる詳しい解説。

注目のパティスリーでは基本の生地を利用してどのような商品展開をしているが分かります。生地の具体的な使い方やプチガトーの展開も掲載されていて、商品化するアイデアとしても有効です。

先の2冊と違う点は、より実用的な商品展開に向いているところです。20人のシェフのお菓子作りにおける考え方が紹介されていて、とても参考になる一冊です。

 

おすすめポイント
100種類の生地が紹介されている
20店舗の人気パティスリーの商品展開への考え方を知ることができる
生地を展開して応用する方法がわかる
シェフのお菓子作りにおける考え方がも記載されている。

 

まとめ

今回は、お菓子づくりをする上でとても大切な『基本』について書かれている3冊を紹介しました。

『菓子屋の仕事』は 毎日同じ作業 を繰りかえす仕事です。

しかし、その作業は『気泡との勝負』『微妙な焼き時間との勝負』だったりと、的確な判断やスピードが大切になるシチュエーションも多く存在します。

  • 基本をしっかり習得することで、展開してもぶれないお菓子作りが可能。
  • 知識⇄実践を繰り返すことで瞬時に的確な判断ができるようになる。
  • 基本と製菓理論をマスターすれば、プロとして安定したお菓子づくりができるようになる

 

『プロのための製菓技法 生地』『プロのための製菓技法 クリーム』は教科書的な存在。『洋菓子生地の辞典』は応用を効かせるための発展的な用途で利用しています。

他のシェフの考え方や応用の仕方もとても参考になり、困ったときに見返せるような3冊です。