ずっと持っていたい本『私の書庫』ー製菓理論・調理科学

製菓理論『お菓子の科学』

私は、お菓子づくりをする上で『製菓理論』を大切にして作っています。

お菓子づくりは『科学』です。科学を理解する事は、自然の原理に従う事であり、素材の特性を活かしてあげる事に繋がります。

   

私自身、駆け出しの頃『失敗』した際に上手くいかない理由がわかりませんでした。
私が働いていたお店のシェフは、わからない答えを教えてくれませんでした。

更に、「上手くできないならこの仕事から外すぞ」とプレッシャーもかけられていました。

『悔しい気持ち』と『負けたくない気持ち』がきっかけで、素材の性質やそれらを組み合わせた時に起きる反応を沢山・沢山調べました。

そして、素材と向き合う事で初めて見えてきたものがありました。

あの時、失敗した際に上手くいかない理由を教えて貰っていたら、物事の根本について深く考える事をしなかったと思います。

お菓子を作る上で、『その根本』=『素材の性質』『素材と素材の反応』が凄く重要です。
あの時は「意地悪!」と思ったシェフの教え方も、今は心から感謝しています。

さて、ここで紹介する本は、独学の方から修行を積んでいる方まで幅いろい方に読んでいただきたい本です。

ここでは以下の『3冊』の本を紹介します。

初級・中級・上級向けの3冊です。あなたの作るお菓子と理論がリンクするようになったら、1冊ずつステップアップしてください。

結論的には同じことが書いてあっても、より深く・詳しく・科学的に理解できる様になります。

おすすめの理由

お菓子づくりの科学反応が頭に入る
壁にぶつかったときのなぜ?を解決
プロとしての安定したお菓子づくりの実現
従業員やお教室の生徒さんに教える目安が明確になる

『菓子屋の仕事』は 毎日同じ作業 を繰りかえす仕事。ただただ 作っているだけでは 美味しお菓子が作れません。

毎日作る お菓子の違い を把握して、科学的に分析して行きましょう。理解すると、お菓子づくりがどんどん楽しくなります。そして、安定したお菓子が出来るようになります。

私は、お菓子と正に向き合い『ピンポイントのおいしさを追及する菓子職人』でありたいと思っています。

そんな私のおすすめは以下の3冊です。

初級編 / 科学でわかるお菓子の「なぜ?」

出版

監修 / 辻製菓専門学校 共著 / 中山弘典 ・ 木村万紀子 出版 / 柴田書店

『辻製菓専門学校主任教授の中山弘典先生』 『調理科学分野で活躍する木村万紀子先生』の技術と知識を詰め込んだ1冊。

目次①お菓子作りをはじめる前に ②お菓子作り方のなぜ?  共立てのスポンジ生地  別立てのスポンジ生地  バター生地  タルト生地  パイ生地  シュー生地  チョコレート  カスタードクリーム  イタリアンメレンゲ  バタークリーム  アングレーズソース  アーモンドクリーム ③お菓子材料のなぜ?  卵  小麦粉  砂糖  牛乳・生クリーム  バター  膨張剤・凝固剤・香料・着色料 より詳しい目次:柴田書店

この本は上記の3つの要素で構成されています。要素が分かれていることで、調べたいことが調べやすい構成で出来ています。

この本を初心者向けに選んだ理由はカラー写真や図・グラフが多く、視覚的に理解しやいつくりになっているからです。『科学』というと、とっつきにくいイメージがありますが、初心者に配慮した分かりやすい解説になっています。

まず、この本から始めることで苦手意識を克服できます。

おすすめポイントカラー写真・図・グラグの多用 壁にぶつかった際にQ&A形式の理論解説 レシピ内の素材のを変える事による変化の解説

中級編 / お菓子「こつ」の科学 新版

出版

共著 / 農学博士 河田昌子 出版 / 柴田書店

1987年に刊行以来30版を重ねたロングセラー本の『お菓子「こつ」の科学』を全面改訂して新版。

目次】 ① 小麦粉 ② 砂糖 ③ 卵 ④ 乳製品 (牛乳、ヨーグルト、生クリーム、チーズ) ⑤ 固型油脂 (バター、マーガリン、ショートニング) ⑥ チョコレート ⑦ 膨張剤と酵母 (重曹、ベーキングパウダー、イースト、天然酵母) ⑧ ゲル化剤 (ゼラチン、寒天、カラギーナン、アルギン酸、ペクチン) より詳しい目次:柴田書店

この本を中級者向けに選んだ理由は、作り手の視点で解説されている点です。初心者向けにご紹介させていただいた本よりは難しい内容ですが、材料から考える視点で科学反応を詳しく解説しています。

この本の内容が理解できると、お菓子の世界感がもっと広く深くなっていくことでしょう。また、プロとして安定したお菓子づくりが実現できます。

おすすめポイント科学的に解析できる知識。 新刊されたことで、新しい情報が加えられている。 材料から考える視点で、知識を理解すれば、どのお菓子にも流用できる

上級編 / 洋菓子材料の調理科学

出版

共著 / 竹林やゑ子 出版 / 柴田書店

1979年初版刊行。以来半世紀にわたって、その書籍生命を維持し続ける調理科学の分野を代表する1冊。

目次】 ① 小麦粉 ② 甘味料 ③ 卵 ④ 牛乳・乳製品 ⑤ 油脂 ⑥ 乳化剤 ⑦ チョコレート ⑧ ペクチン ⑨ カラゲーナン より詳しい目次:柴田書店

この本を上級者向けに選んだ理由は より科学的視点の濃く、専門的な点です。成分・性質・作用・特性を科学的に幅広く分析・データ化。理解しお菓子に反映させていくには、ある程度 経験や理解力が必要です。

情報が古くはありますが 普遍的なものが多く、とても参考になる一冊です。私自身、壁にぶちあたると今でも見返す ずっと手元においておきたい本です。

おすすめポイント成分・性質・作用・特性を科学的に幅広く分析・データ化。 ずっと使える一冊になる 材料から考える視点で、知識を理解すれば、どのお菓子にも流用できる

   

まとめ

今回は、お菓子づくりをする上で『要』になってくる『製菓理論』について書かれている本を3冊紹介しました。

お菓子屋さんは毎日同じ仕事です。その、『毎日同じ』が【材料の状態】【気候】【自身の体調】【作り手】【厨房の機材】【環境】によって変化してきます。そして、安定させる事の難しさにぶち当たります。

この3冊をステップアップするようにクリアすると、経験と『リンク』して 美味しいお菓子が作れるようになってきます。

プロの仕事は安定したお菓子が供給できること。私は職人として、ピンポイントのおいしさを追及するために、いまでもこの3冊を愛読しています。

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