ずっと持っていたい本『私の書庫』ー古典菓子

古典菓子から学ぶ

ここで紹介する本は、100年以上前に考案されやレシピ本です。現代版に出版されているものは手に入りますが、そうでないものは手に入りにくいです。

ここでは、あくまでも『こういう本もあります』という紹介になります。
世の中には沢山のレシピが出ています。それらのレシピはアレンジが加えられたものが殆どです。つまり、そのお菓子をアレンジしたら、アレンジのアレンジ・・・

もしかしたらアレンジのアレンジのアレンジのアレンジの・・・
何てことにもなり兼ねないのが現状です。

古典菓子は古臭いなんてイメージがあるかもしれませんが、古典菓子がじつは『本当の基礎』。古典菓子には100年以上前の先人パティシエたちの努力と知識・経験・時間がつまった宝物のような存在です。

この本当の基礎が理解できてることで、お菓子の応用が利くよになってきます。では、おすすめ3冊を紹介していきたいと思います。

 

おすすめの理由

正しい基礎には先人の知識や経験が詰まっている。
先人達の努力と時間の賜物である。
基礎ができていると、応用がきくようになる。
基礎が頭に入っていると、今後効率的にお菓子づくりができる。

『菓子屋の仕事』は 毎日同じ作業 を繰りかえす仕事。ただただ 作っているだけでは 安定して美味しお菓子が作れるようにはなりません。基本を大切に、毎日作る お菓子の違い を把握して、科学的に分析して行きましょう。基本や科学を理解すると、お菓子づくりがどんどん楽しくなります。そして、安定したお菓子が出来るようになります。

私は、お菓子と正に向き合い『ピンポイントのおいしさを追及する菓子職人』でありたいと思っています。

そんな私のおすすめは以下の3冊です。

Traité de pâtisserie moderne

出版

共著 / Darenne, Émile ・ Duval, Émile
出版 / Flammarion

 1909年初版20世紀初頭の偉大パティシエによる文献 

エミール・デュバルはトロワ出身の有名なパティシエ。
パート・ビスキュイ・クリーム・アントルメ・フィユタージュ・トレトール・コンフィズリー・グラス・ピエスモンテ・グラスなど13章に分類した100年以上前のお菓子の基礎がつまった専門書

現物を見てみる

この本は1980年に日本洋菓子協会で『近代製菓概』として日本語訳をされたこともある、有名な古典文献の一つ。 日本でも通称『赤本』と呼ばれ、多くのパティシエに愛されている。 お菓子の基礎が詰まったで、息詰まったり、新しいアイデアが欲しい時に立ち返る1冊です。

おすすめポイント
100年以上前のお菓子の基礎が詰まっている
長い間、重版されてきた信用のある一冊。
いつでも基本に立ち返ることができる

Le Pâtissier Royal Parisien Ou Traité Élémentaire de la Pâtisserie Ancienne Et Moderne Tome 1+ Tome2(Savoirs Et Traditions)

出版

共著 /M. A. Carême
出版 / Hachette Livre Bnf

1815年に初版が発売された、料理人でありパティシエでもあったM. A. Carêmeの再現本。2冊編成

マリー・アントワーヌ・カレム(1784年6月8日-1833年1月12日)
フランスのシェフであり、壮大な料理として知られる精巧な料理スタイルの初期の実践者。

この本は200年以上前の本の内容を再現し、現代でも気軽に手に入る一冊です。

第二次世界大戦前の冷蔵普及普及していない時代の本で、今のフランス料理文化が発展してきた元となっているアントワーヌ・カレムの貴重な内容が詰まった古典文献。

当時の状況を考慮しながらレシピを考察すると、今のフランス菓子がうまれた原点が見えてきます。

おすすめポイント
200年以上前のフランス菓子を知ることができる
原点を知ることでフランス菓子を深く考察できる
古い文献が再販されている=需要があり目を通しておきたい1冊

フランス菓子947製菓法

著:コッシェ,ジョゼフ, 著:モンティエ,ジェラール, 著:ルキエ,ルシアン, 原著:Koscher,Joseph, 原著:Montillet,G´erard, 原著:Rouqui´e,Lucien, 翻訳:モーリスカンパニー, Unknown:憲巳, 平田, Unknown:惇, 松浦
出版

共著 / ジョゼフ・コッシェ、ルシアン・ルキエ、ジェラール・モンティエ
監修平田憲巳/松浦惇
出版 / モーリス・カンパニー

この本はフランスの Editions B.P.I.社より1990年に発刊された「Maitriser la  Patisserie 」で、アプランティ(見習)と若い初心者のために書かれた洋菓子教育の専門書です。

著者はそれぞれパティシエ見習いの為の教師。

ジョゼフ・コッシェ(ストラスブルグ・ホテル技術教育リセ: 公立高等中学校名誉校長)
ルシアン・ルキエ(スゥィヤック・ホテル技術教育リセ:公立高等中学校主任教師)
ジェラール・モンティエ (スゥィヤック・ホテル技術教育リセ:公立高等中学校主任教師)

この本の特長は洋菓子の優れた分類法と合理的な配合表、イラストを用いた詳細な手順説明です。フランス菓子の全体像が実際の商品例947項目で、系統立てて解説されていることです。各項目ともに現代フランス菓子に欠かすことのできない基礎的な領域を示しています。この分類法は断片的に偏ってしまう現代の知識と技術を補うのに充分な役割をはたします。

いままでとは「違った方法」での洋菓子の習得法、「論理的で」「体系的な」方法で基礎を学ぶことで大きく視野が広がるでしょう。洋菓子の基本的な知識や技術には、「これだけの知識は得ておきたい」「これだけはマスターしたい技術」というものがあります。この基本的な知識と技術の幅と深さをさまざまな商品へと展開していくフランス菓子の考え方を学んで下さい。

引用:モーリスカンパニー

この本は、私が高校生のときに購入した1冊です。当時、パティシエになりたいという思いはありましたが、家庭レベルの知識しかない中で、悩みに悩んで購入しました。

実際フランスの見習いパティシエ向けに書かれた本でイラストもあり、分かりやすく書かれています。
購入してもう20年以上たちますが、上記3冊と違い日本語に訳されているため、気軽に開けて、気軽に基礎に立ち返ることが出来るため、ずっと手元に置いておきたい貴重な教科書です。

おすすめポイント
フランスのアプランティ(見習いパティシエ)のための教科書
日本語訳だから気軽に開ける
基本を確認してブレを修正できる

まとめ

今回はお菓子づくりをする上で『原点』となってくる『古典菓子』のおすすめ文献を3冊紹介しました。

アレンジにアレンジを重ねている現代のお菓子は原点を見失いがちです。時には原点に立ち返り、洋菓子が生まれた環境や歴史を振り返ることも大切だと思っています。

この3冊を読み返すことで、大切なものを見失わずにいれています。私にとって、いつまでも手元に置いておきたいおすすめの3冊です。