お菓子屋さんでいう経理とは、日々の売り上げを管理し、在庫や支払い等お店におけるお金の流れを把握する事です。経理は税理士さんまたは、会計士さんに委託するか、システムを利用するなどして自分で行うかことになります。
まだ、収入の安定していない状況での外部委託=固定出費は経営に重くのしかかってくる事も予想されます。果たして、自分で行うのか、外部に委託するのか、どちらが最良なのか考えていきましょう。
お店の運営をうまく回すには経理だけでなく売るための戦略も必要です。売るための戦略=マーケテイング戦略の考え方については以下で詳しく解説しています。マーケティングが頭に入っているかいないかで経営が変わってくるので、ぜひあわせてご参照ください。
経理の内容とは?
経理の内容はおおまかに以下のものとなります。これらの事を、日次、月次、年次に分けて作業していきます。
- 日々の売上管理
- 仕入れやその他支払い
- 給与計算
- 保険の管理
- 税金の計算
- 棚卸し
- 決算書作成
日々やるべき事
- 売り上げを日付け事に管理
- 出金伝票とレシートの管理
月々やるべき事
- 仕入れの請求書やその他、支払いの管理
- 銀行、クレジットカードと明細管理
- 給料の計算、支払い
- 棚卸しの計算
- 外部とのやりとりがあれば、領収書や請求書の発行
年次でやるべき事
- 給料台帳の作成
- 源泉徴収や社会保険の納付。
- 保険など、控除されるものを把握
- 固定資産や減価償却の管理
- 税金の計算
- 決算書の作成
日々やるべきこと、月々やるべきことを怠ると、年次に一気にのしかかってきます。年次の確定申告時期とお菓子屋さんの繁忙期は被っていますので、怠らない様にしましょう。
外部委託をおすすめする方。しない方。
経理・会計は基本的に時間がかかってしまいますが、自分で行う事も可能です。その為、税理面のアドバイスの希望が無く、時間に余裕のある方はご自分される方も多く存在します。例えば、ご夫婦で経営されていて、片方が厨房で製造業務、片方が販売と経理業務を担当されていれば、外部委託の必要も無くなるかもしれません。
しかし、2人とも製造する事が可能だったり、1人で製造していたりと、お菓子屋さんにとって利益を生み出す作業が出来る方が経理に時間を費やし、お菓子を作る作業が削られる事は効率的とはいえません。
経理知識の豊富な外部に委託する事で、コストダウンが実現化すれば、外部委託した費用と相対的に考えても、決して高いとは言えません。餅は餅屋という様に、お菓子を作れる方が無理して経理業務を行うのでは無く、お菓子が作れない方が経理を行う。そういう方が存在しなければ外部委託する方がお菓子屋さんの経営として上手くまわります。
とはいえ、売り上げが少ない段階で外部に依頼するのは、ハードルが高いと思います。外部に依頼する売り上げ基準としては、年商1000万円以上と言われています。
外部委託をお勧めしたい方
- お菓子を製造出来る人が経理をしなくてはいけない状況になってしまう場合。
- 時間のない方。
- 節税効果を求めたい方。
- 年商が1000万円以上の方。
外部委託はお勧めしない方。
- 時間に余裕のある方。
- 売り上げ自体が多くない方。
- 経理や税制に詳しい方。
- 年商が1000万未満の方。
税理士・会計士に依頼した場合の料金相場
料金相場
料金は、個人or法人 によって、相場が変わってきます。また、年商によっても相場は変わりますが、平均的な相場目安は以下となります。
上の目安から見て、年間の費用は
◉年商1000万〜2000万の場合➡︎20万〜30万円位
◉年商2000万〜3000万円の場合➡︎30〜35万円位
◉年商3000万〜5000万円の場合➡︎35万〜45万円位
税理士・会計士に依頼するメリット・デメリット
外部委託のメリット
① 税金の計算や帳簿付けが正確にできる事で報告漏れを防げる。
正確に記帳していたつもりが抜け落ちており、後からペナルティーを受けるというトラブルを事前に防ぐ事が出来る。
② お菓子作りや経営に専念できる。
確定申告の時期は2月半ば〜3月半ばが通例です。つまり、それより前に書類を揃えなくてはいけません。お菓子屋さんにとってその時期は超繁忙期です。
経理の仕事を任せてしまう事で、お菓子作りに集中し、売り損じを減らす。また、どうやったら売り上げを伸ばせるかなど、利益に繋がる本業に専念できる。
③資金繰りの相談ができる。
どの様に経営していったら良いかなど、経理についての相談をプロの方にできる。
④ 節税が行える。
節税は誤った方法で行ってしまうと、脱税になってしまいます。プロの知識やノウハウで節税を行うことで脱税行為を回避した正しい節税を行う事ができます。
外部委託のデメリット
①費用がかかる。
外部委託する上で重くのしかかってくるのは1にも2にも費用になってくると思います。しかし、プロに依頼したことで実現する節税や手間と天秤にかけるとその費用も高いものではないと考えています。
外部委託の2パターン
- 年一回の確定申告だけ行ってもらう。
- 顧問契約して、定期的にアドバイスをもらい、確定申告まで行なってもらう。
年一回の確定申告だけ行ってもらう。
日次、月次の経理は自分で行い、年一回の確定申告のみ税理士・会計士さんにお願いする方法です。この方法をとれば、年1回でも経理をプロの方にみてもらう事が出来ます。
顧問契約して、定期的にアドバイスをもらい、確定申告まで行なってもらう。
日次、月次の経理情報を渡した上で、最後の集計を税理士さん、会計士さんに行ってもらう方法です。経営情報を渡す作業さえ終わってしまえば、お菓子作りに集中する事が出来ます。また、日々の経営状況を把握してもらう事が可能で、定期的にアドバイスを貰えます。
税理士・会計士に依頼する基準が1000万と言われている理由
① 消費税の課税事業者になり納税者が発生する。
年間1000万円以上年商がある場合、納税義務が発生します。納税に伴い、手続きや計算が増え申請が面倒になってくるため。
② 本業が忙しくなってくる。
1000万円以上の売り上げになってくると、製造に大きく時間を裂かれるようになってきます。経理に時間を割くよりも、更にお菓子を製造することで大きく売り上げを伸ばせる可能性が出てきます。
③ 節税対策が必要になってくる。
1000万円以上になると納税の義務が発生してくるため、専門的な知識が必要になってきます。経理のプロの方にお願いすることで、自分知識ではできなかった節税ができることもあります。
税理士・会計士に依頼しない場合
クラウド会計システムの料金相場
クラウドソフトを利用して、年間12000円〜程度。
ダウンロード式だと、アップデートの度に料金が発生したりするのでクラウドがおすすめ。
『お菓子屋さんに合ったクラウド会計システム4選』は以下で詳しく解説しております。
経理を自分で行うメリット・デメリット
自分で行うメリット
① お金の細かい流れが把握できる。
外部委託するよりも、お金の流れで把握しやすくなるため、将来の事業をどう進めるか自ら考える為の資料となる。
② 外部に委託する分の費用を節約できる。
外部委託をすると、どうしてもかかってきてしまう固定費を、自ら行うことで節約できる。
自分で行うデメリット
① 本業に集中する時間を削られる。
本業であるお菓子作りをする時間を削られること、売り上げを伸ばすためのネットシステムや経営の本質に関わる時間が削られる。
② ペナルティーを受ける恐れがある。
法的な書類は間違えがあるとペナルティーがかかります。自分ではしっかりやっていたつもりでいても、本業の傍ら作業をすることでミスが起きやすくなります。
③ めんどくさい。
書類の作成はめんどくさい作業がたくさんありますので結構手間がかかります。また知識が乏しいため、調べながらすることで時間もかかります。
④節税できたかもしれないポイントに気づけないかもしれない。
素人が勉強した程度では、なかなか税理士の先生には近づけません。節税できたかもしれないポイントが税理士報酬を支払うよりも額が大きい可能性もあります。
まとめ
- 税理士、会計士に委託するかは、経営者やパートナーに時間があるかどうか。
- 外部に委託するのは年商1000万以上から。
- 外部委託する場合はお菓子作りや経営に思いっきり専念しよう。
- どの方法を選ぶと、利益を最大限にあげられるか考えて選ぼう。