プロの仕事としてお菓子を販売する時は、食品成分表示を記載する義務があります。食品成分表示とは以下の様な表示をする事です。
食品成分表示の記載内容は以下8項目になります。
- 商品名
- 名称
- 原材料(添加物・原料原産国名)
- 内容量
- 賞味期限
- 保存方法
- 製造者
- 栄養成分表示
食品を購入した際にも、賞味期限が表示されているかと思います。この賞味期限にはガイドラインが決まっているわけではなく、製造元が責任を持って表示を決定します。
製造元とは、商品を製造するあなたの事です。つまり賞味期限には決まりはなく、あなたが決定するという事です。販売した商品にカビが発生したり、食中毒が起きるような事が起きれば、全てあなたの責任になります。
今回は食品成分表示に表示する義務のある賞味期限について、解説して行きたいと思います。
また、商売としてお菓子を販売するには食品表示だけでなく、第三者に商品を販売するという事は責任を伴います。
もしも、製造した商品で食中毒や死亡事故を起こしてしまった場合、賠償金は1億円を超える事もあります。あなたは、責任をとれますか?
考えただけでも怖いですよね。
お菓子屋さんに問題が起きた時の為の備えがあります。お客様を守る責任を伴う為、私は万が一に備えています。
賞味期限と消費期限の違い
品質が急速に劣化する食品には「消費期限」 それ以外の食品には「賞味期限」を表示。
賞味期限とは
劣化が比較的遅い食料品を包装状態のまま所定の環境に置いた状態で、製造者が安全性や味・風味等の全ての品質が維持されると保証する期限を示す日時である。引用:Wikipedia
つまり、安全性だけではなく ” 味 ” や “ 香り ” などの品質が保たれる期限のことで、美味しく召し上がって貰う為の期限の事。
賞味期限は品質劣化の目安です。期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。
消費期限とは
製造者が定めた、ある保存方法で概ね5日間経つと品質劣化する長期間保存できない食品の食用可能期限。引用:Wikipedia
つまり、安全性に重点を置き、『この日までには消費してください』『この日までなら口にしても問題ないことを表示する』という期限の事。
『消費期限を過ぎた商品は口にしないでください』という期限表示
賞味期限・消費期限を決めるのは製造元
先にも記載しましたが、賞味期限を決定する為のガイドラインは存在しません。つまり、役菓子ならば大体○〇日という、基準がありません。賞味期限・消費期限を決定するのは製造元です。
製造したお菓子を一番よく知っている人(製造元)が賞味期限・消費期限を決定する。
賞味期限を決める為の7項目
製造したお菓子を一番よく知っている人(製造元)が賞味期限・消費期限を決定する。とありましたが、良く知っている・・・という事を判断するには以下の7項目を理解している事が基準となります。
保健所や法律ではガイドラインを出さない理由は、これら7項目の状態により消費期限は大きく左右されるためです。
- 食品の特性
- 品質の変化や要因
- 原材料の衛生状態
- 製造・加工の衛生状態
- 容器包装の形状
- 保存状態
- 科学的根拠を証明
消費期限又は賞味期限の設定は、食品等の特性、品質変化の要因や原材料の衛生状態、製造・加工時の衛生管理の状態、容器包装の形態、保存状態等の諸要素を勘案し、科学的、合理的に行う必要があります。このため、その食品等を一番よく知っている者
引用:消費者庁 加工食品の表示に関する共通Q&A
①食品の特性
以下の例の様な、食品の特性を理解している必要があります。
- 生菓子は火を通していない為日持ちがしない。
- 焼き菓子でも、水分含有量により品質維持期間が変わる。
- 油脂が多く含まれていれば、酸化しやすい など
②品質の変化や要因
以下の例の様な、品質の変化や要因を理解している必要があります。
- 生菓子は10℃以下で保存しないと腐ってしまう。
- チョコレートは高温になるとブルームを起こす。
- ナッツ類は高温や酸素に触れると酸化する。
- ドゥミセック(半生焼き菓子・マドレーヌなど)は高温多湿でカビが生える など
③原材料の衛生状態
以下の例の様な、原材料の衛生状態を理解している必要があります。
- 牛乳やバターなどの乳製品は冷蔵保管されているものを使用しているか。
- 原材料は高温多湿な場所で保管されていなかったか。
- 大ロットで購入し、何度も使用する原材料の本体を素手で触ったり異物混入したりしていないか。 など
食品保存の衛生管理は勿論のこと、アルコール消毒などを用いて、衛生管理に務めます。
④製造・加工の衛生状態
以下の例の様な、製造・加工の衛生状態を理解している必要があります。
- 使用した器具は衛生状態が良いものだったか。
- 素手で商品に触れたりしていないか。
- 製造過程に異物が混入したりしていか。 など
ゴム手袋を利用するなどの、対策がとれますが、食品に利用できるゴム手袋には『食品衛生法適合』のものに限られます。
⑤容器包装の形状
以下の例の様な、容器包装の形状を理解している必要があります。
- 密閉された包装か。
- 脱酸素剤や乾燥剤を包装の中にいれているか、いないか。
- 脱酸素剤や乾燥剤が製造したお菓子の容量にあっているか。 など
カビや細菌は酸素と栄養分・湿度を求めます。焼き菓子などの袋の中に脱酸素剤を入れることで、カビや細菌の繁殖を防ぎます。
脱酸素剤を利用する場合はガス袋と呼ばれる、酸素を通さない袋に入れなくてはなりません。