焼き菓子屋・クッキー屋・ケーキ屋・アイス屋など、お菓子屋さんを運営するうえで、食品表示は義務となっています。ラベルシールを作成する上でとても役立つのが『ラベルプリンター』
引用:Brother
ラベルプリンターを利用すると、上記の様なシールがテンプレートの入れ替えだけで作成できます。
大きな会社では、食品表示を包装自体に印刷して販売する事ができますが、小さなお菓子屋さんでは包装自体への印刷は困難です、そういった場合は食品表示をシールとして印刷し、包装に貼り付ける事で解決する事が可能です。
一概に食品ラベルプリンターと言っても色々な種類があります。種類がありすぎて判断基準がわからないよ!というあなたの為に、今回は食品表示シールプリンターを選択する上で、何を重視して選ぶべきかを解説していきたいと思います。
そこで、今回は失敗しないラベルプリンター選びで『重視すべき9つのポイント』について解説して行きたいと思います。
食品ラベルプリンター選びのポイントは以下の9つ!!
- デザイン・画質
- 機能
- ラベルシールのコスト
- 初期投資
- 自動計算
- 量産性
- ラベルシールの耐水性
- 時間効率
- ネットワーク
この記事から、自分が重視するべきポイントを理解して、失敗のない食品ラベルプリンタープリンターを選択しましょう!
プリンターの基本
印刷方式の違い
小さなお菓子屋さんでも利用可能なプリンターには4種類の印刷方式があります。それぞれのプリンターにより画質の違いでも出てくるので、まずは印刷方式の特徴を理解ていきましょう。
- 感熱式プリンター
- 熱転写式プリンター
- インクジェットプリンター
- レーザープリンター
感熱式プリンターのメリット・デメリット
熱で発色する専用感熱シールに、プリンターヘッドで熱を与える事で印刷するラベル。インクが不要で取り扱いが簡単です。
感熱式のメリット
① ラベルコストが抑えられる
専用の感熱シールの購入が必要ですが、インクが不要で食品や商品ラベルでも幅広く使え、低コストで運用可能。
② プリンターコストが抑えられる
インクリボンが不要で構造もシンプルなためプリンターコストを抑える事が可能。
感熱式のデメリット
① ラベル耐久性が強くない
熱で発色させるため、擦れなどの摩擦熱に弱い。また、時間経過や日光にあたると、変色したり文字が消えてしまう。
② ラベルサイズ
ラベルの素材は販売されている専用の感熱シールに限られる。
熱転写式プリンターのメリット・デメリット
リボンに熱を加えてインクをラベル素材の上に転写する仕組み。インクやラベルの素材を変えることで、耐久性の向上が図れる。プリンターによって印刷できるサイズは変化。
熱転写式のメリット
① ラベルの耐久性が良い
インクがラベルに転写している為、感熱性とは異り時間がたっても消えにくい。ラベル用紙の素材を変えることで、耐熱性、耐薬性、耐水性、耐候性などを持たせることが可能。
② ラベルコストは選択した素材次第
ラベル種類が豊富なため、用途に合わせて選択する事が出来ます。素材次第で安価なラベルを選択することも可能です。
熱転写式のデメリット
① プリンターコストが高め
感熱ラベルプリンターに比べるとインクリボンの構造があるため、プリンターのコストはやや高め。
インクジェットプリンターのメリット・デメリット
粒子化したインクをプリンター用紙に直接噴きつけて印刷をするプリンター。 解像度や色味の再現性が高く写真印刷最適。
インクジェットのメリット
①解像度や色味の再現性が高い
色彩豊かな印刷が可能で、陰影など微妙な色のコントラストも細かく再現
② パソコンに付随してプリンターを所有している場合は新たな購入が不要
パソコンの付随してインクジェットプリンターを所有している方が多いのではないでしょうか?インクジェットで食品表示シール印刷を選択した場合、新なプリンターの購入が不要です。
インクジェットのデメリット
①インクコストがかかる
感熱式や熱転写式ではインクは必要ありませんが、インクジェットでは専用シールの他にインク代がかかる。
②にじみが起こることがある
染料カラーインクが使用されることが多く性質上、にじみやすい。
レーザープリンターのメリット・デメリット
「トナー」と呼ばれる粉状の色材を吹き付けた「感光体(ドラム)」を用紙に押し付けて印刷するプリンター。
レーザープリンターのメリット
① 鮮明な印刷ができる
インクジェットプリンターほど解像度は高くないものの、にじみが少なく鮮明な印刷が可能。
② 劣化しにくい
感熱式・熱転写式・インクジェットに比べ時間が経っても劣化しにくい。
③ インクの費用が抑えられる
インクジェットの半分の価格ほどの費用で抑えられる。
レーザープリンターのデメリット
① プリンターコストや消費電力が高くつく傾向
レーザープリンターは企業で使われる事が多く、プリンター本体の導入コストがかかるため、初期導入の費用が高くなります。また、消費電力も高めです。
②色の表現力は劣る
インクジェットに比べ、色の表現力は劣りますが、食品表示を印刷する用途としては問題ありません。
焼き菓子・生菓子『ラベルプリンター選びの9つのポイント』
今回は4選+αのシールを多角的にみて比較していきたいと思います。失敗しない食品表示プリンター選びには9つのポイントがあります。
あなた自身が欠かせないポイント、容認できるポイントを把握した上で選択する事で、失敗を回避する事が出来ます。
- デザイン・画質
- 機能
- ラベルシールのコスト
- 初期投資
- 自動計算
- 量産性
- ラベルシールの耐水性
- 時間効率
- ネットワーク
※ここでは、私の経験の中からおすすめするプリンター4選+αで比較しています。
デザイン・画質で比較
デザイン
食品表示にはルールがあり、記載すべき内容がきちんと伝わるような書き方が求められます。ピータッチキューブ PT-P910BTやエーワンラベルシールの中にはデザイン性の高い素材のシールも存在します。
それらのシールを用いてお洒落なシールを作成する事は可能です。ラベルシールの素材変われば、コストも伴って変わりますので注意してラベルシール選びをしてください。
素材次第でおしゃれに作れる
- ピータッチキューブ PT-P910BT
- エーワンラベルシール
画質
解析度はdpiで表記されます。解析度が高いほど、印字は綺麗にされる事になります各機種のdpiは以下の通りです。
- brother QL-820NWB →300dpi
- brother TD-2135NWBSA →300dpi
- MAXラベルプリンターLP-700SA →300dpi
- ピータッチキューブ PT-P910BT →360dpi
- エーワン ラベルシール →使用するインクジェット・レーザープリンターにより異なる
機能で比較
機能については、自身の生産力や販売力によって必要な機能が変わってきますので、以下の表を参考にあなたが必要だと思う機能をピックアップしてみてください。
- brother QL-820NWB →感熱方式
- brother TD-2135NWBSA →感熱方式
- MAXラベルプリンターLP-700SA →感熱方式
- ピータッチキューブ PT-P910BT →熱転写式
- エーワン ラベルシール →インクジェット・レーザー
ラベルシールコストで比較
1枚当たりのラベルシール コストで比較
【補足】
- brother QL-820NWB →感熱紙・普通紙に近い質感(水に弱い)
- brother TD-2130NSA →感熱紙・普通紙に近い質感(水に弱い)
- MAXラベルプリンターLP-700SA →上質感熱紙 艶あり(水に強め)
- ピータッチキューブ PT-P910BT →水やこすれに強いラミネート
(TZe-261)
- エーワン ラベルシール →普通紙に近い質感(水に弱い)
ラベルコスト 比較表
スクロールできます➡
商品名 | タイプ | サイズ | 枚数 | 販売価格 | 1ロール | 1枚 | |
brother QL-820NWBc | DK-2205 | 連続タイプ | 62㎜×30.48M | 約750枚 | 10ロール\16,390 | \1,639 | 約2.2円 |
DK-2205 | 連続タイプ | 62㎜×30.48M | 約750枚 | 1ロール\1,871 | \1,871 | 約2.5円 | |
DK-1220 | プレカット | 39×48㎜ | 620枚 | 10ロール\17,963 | \1,796 | 約2.9円 | |
DK-1220 | プレカット | 39×48㎜ | 620枚 | 1ロール\1,964 | \1,964 | 約3.16円 | |
TD-2135NWBSA | RD-U06J1 | プレカット | 40×60㎜ | 1126枚 | 3ロール\5,000 | \1,667 | 約1.48円 |
RD-U07J1 | プレカット | 40×50㎜ | 1341枚 | 3ロール\6,123 | \2,041 | 約1.52円 | |
RD-U08J1 | プレカット | 40×40㎜ | 1643枚 | 3ロール\5582 | \1861 | 約1.2円 | |
MAXラベルLP-700SA | LP-S4046 | プレカット | 40×46㎜ | 840枚 | 6ロール\9020 | \1502 | 約1.8円 |
LP-S4062 | プレカット | 40×62㎜ | 640枚 | 6ロール\9020 | \1503 | 約2.4円 | |
ピータッチキューブ PT-P910BT | TZe-261 | 連続タイプ | 36×8M | 約 133枚 | 1ロール \2167 | \2167 | 約16.3円 |
エーワンラベル | 72221 | シートタイプ | 38.1×63.5㎜ | 1パック22シート | 1シート21枚 | \726 | 約1.57円 |
31509 | シートタイプ | 38.1×63.5㎜ | 1パック10シート | 1シート21枚 | \371 | 約1.76円 | |
31510 | シートタイプ | 38.1×63.5㎜ | 1パック100シート | 1シート21枚 | \2791 | 約1.32円 | |
51592 | シートタイプ | 38×54㎜ | 1パック10シート | 1シート25枚 | \516 | 約2.06円 |
ロス ラベルシール コスト で比較
ロスのラベルシールが出にくいプリンター3選
レジ横に設置できるコンパクト設計で、必要な時に必要な枚数プリントできる。また、プリント最中のロスも出にくい設計。
- brother QL-820NWBc
- brother TD-2135NWBSA
- MAXラベルプリンターLP-700SA
ロスシールが発生してしまいやすいプリンター
ピータッチキューブ PT-P910BT
レジ横に設置できるコンパクト設計で、必要な時に必要な枚数プリントできるが、1回のプリントで2cmほどロスシールが発生してしまう。シールの連続発行をするなど、工夫する事が必要だ。
エーワン ラベルシール
印刷環境がレジ横設置できない場合、事前にプリントしておく必要が出てくる。必要毎に印刷できない為、プリントしたけど使わずに印刷した期限が切れてしまい、無駄になってし舞うなどという事が発生する。
また、最低印刷枚数が1シートからになってしまうため、「1枚だけプリントしたい」などの細かい数でのプリントが出来ないため、ロスシールが発生しやすくなる。
初期投資で比較
プリンターを購入する上でネックとなってくる初期購入費です。販売価格は販売店により変わってくるので、明記しませんがコストの低い順ですと、以下の通りです。
【初期投資コストの低い順】
エーワンラベルシール < ピータッチキューブ PT-P910BT < brother QL-820NWBc < brother TD-2135NWBSA < MAXラベルLP-700SA
自動計算で比較
時計機能、日付、時間の自動加算機能ありの機種選択で、賞味期限表示や消費期限表示を加算してプリントする事が出来ます。
例)2021.10.5にラベルシール作成 ➡ 7日加算設定 ➡ 2021.10.12付けのラベルシールを自動で計算してプリントしてくれます。
この機能がついていない場合、プリント毎に自身で計算して記載する必要が出てきます。
【自動計算機能が付いているプリンター】
- brother QL-820NWBc
- TD-2135NWBSA
- MAXラベルLP-700SA
量産性で比較
ラベルプリンターには量産性を考慮して考えられた機種があります。量産向けのラベルプリンターは耐久性が高くより効率的に設計さています。量産性の高い順に以下の通りとなります。
【量産性の高い順】
MAXラベルLP-700SA > brother TD-2135NWBSA > brother QL-820NWBc> エーワンラベルシール> ピータッチキューブ PT-P910BT
ラベルシールの耐水性で比較
上記表で表記しているシールは一般に使われてい食品表示シールです。冷凍や水滴様に対応されていない為、耐水性は低いものになります。その中でも、水に強めの材質は以下のシールです。※インクジェットは水による滲みが起きやいので注意してください。
brother QL-820NWBcでプリントするラベルシールは水に弱く普通紙のような素材ですが、インクジェットの様に滲んだりはしません。普通紙程度の耐水性が気になる方は『産直野菜ラベルのビレバンPOP化計画さん』のツイートリンクの許可を頂きましたので参考にしてください。↓
TD-2135NWBSAは他社製品のラベルシール利用も可能
brother QL-820NWBc ・ TD-2135NWBSA のラベルシールは普通紙に近い素材で水に強くありません。QL-820NWB対応可能ラベルシールが限定されていますが、
TD-2135NWBSAは他社製品の(水に強めのラベル)対応も可能です。
【TD-2135NWBSA 他社ラベル対応条件】
- ラベルサイズ
19〜63mm - ラベル直径(巻いてある状態)
127mm迄 - ラベルシールの間隔
3mm以上離れている事
時間効率で比較
コンパクト設計でレジ横に設置可能
レジ横に設置する事で、必要な時・必要な枚数のプリントが可能。場所を移動せずにレジ横で解決する事で時間の節約にもなる。
【コンパクト設計のプリンター】
- brother QL-820NWBc
- brother TD-2135NWBSA
- MAXラベルプリンターLP-700SA
- ピータッチキューブ PT-P910BT
アプリでの編集で空き時間を利用
空き時間に場所を問わずに編集可能なのがスマホアプリ。休憩時間や休みの日の移動時間にも編集できる。
【アプリ利用可能なプリンター】
- brother QL-820NWBc
- ピータッチキューブ PT-P910BT
- エーワン ラベルシール
液晶ディスプレー搭載で本体からの編集が可能
本体のみで編集できることで、わざわざパソコンやアプリを開く必要が無い。また、スタッフにも任せられるのは効率が良い。
本体からの編集が可能なプリンター
- brother TD-2135NWBSA
- MAXラベルプリンターLP-700SA
ネットワークで比較
多店舗展開をしている、または今後する予定の場合、本部で作成したラベルテンプレートを店舗のプリンター本体に転送し登録できるプリンター。
【ネットワーク利用できるプリンター】
- brother TD-2135NWBSA
- MAXラベルプリンターLP-700SA
用途別おすすめ機種
印刷量は多くない・初期コストを抑えたい方
- エーワン ラベルシール
- brother QL-820NWBc
とにかくお洒落なシールが印刷したい方
- ピータッチキューブ PT-P910BT
- エーワン ラベルシール
印刷量も多く、水に比較的強いラベル印刷がしたい方
焼き菓子・生菓子の食品表示の作り方
- 商品名
- 名称
- 原材料名
- 内容量又は固形量及び内容総量
- 消費期限又は賞味期限
- 保存の方法
- 製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称
- 栄養成分の量及び熱量
お菓子屋さんの食品表示には法律で定められている9つの項目があります。その内容には、細かな表示の仕方が定められおり、怠るとペナルティを受ける事になります。
「食品表示のルールがわからない!」 「作り方がわからない!」という方は以下の『お菓子屋さんの食品表示・賞味期限シールのガイドラインと作り方』で詳しく解説しております。
「賞味期限・消費期限の期限の決め方がわからない!」という方は以下の『 お菓子の賞味期限の決め方【焼き菓子・洋菓子の正しい決め方】』で、詳しく解説しておりますので、合わせてご参照ください。
まとめ
- 印刷方式の違いで画質やコストが変わってくる。
- 自身が重視するポイントを見極めてプリンターを選択。
- 焼き菓子・生菓子『ラベルプリンター選び』は以下の9ポイントを考慮。
- デザイン・画質
- 機能
- ラベルシールのコスト
- 初期投資
- 自動計算
- 量産性
- ラベルシールの耐水性
- 時間効率
- ネットワーク
- 食品表示ラベルプリンターは以下の4選から選択すればOk
- brother QL-820NWBc :低コストの初期投資
- brother TD-2130NSA:長く使う事を考慮してラベル コストも重視
- MAXラベルプリンターLP-700SA :総合的な機能やラベル コスト・アフターメンテナンスを重視
- ピータッチキューブ PT-P910BT :ロゴシールと食品表示1台2役
私のお店は3人で営業するお店ですが、そのくらいのサイズのお店なら『brother TD-2130NSA』もしくは『MAXラベルプリンターLP-700SA』を選択し、ロゴシール・プライスカード・店内表示ラベル(子供の学校用にも使える)用で『ピータッチキューブ PT-P910BT』 を購入するのがおすすめです。
お店を運営して行く上で、準備段階からコンセプト設定やブランディングを行い、他店と差別化を行っていくことで、小さなお菓子屋さんでも運営がうまく進むようになります。
お店の運営についてのマーケティング戦略は以下で詳しく解説しています。