お菓子屋さん開業時にネックになって来るであろう『開業資金』について考えてみましょう。
以前は『開業資金』というと、殆どが『日本政策金融公庫』もしくは『銀行』の融資でした。
融資を受けるには、自己資金や事業計画など細かな審査が入り、クリアするのは大変です。また、仮に融資を受けられたとしても、その後は返済期日を常に気にしながら経営する必要があります。
そこに出現したのが『クラウドファンディング』です。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディング(英語: Crowdfunding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。 ソーシャルファンディングとも呼ばれる。
引用:Wikipedia「クラウドファンディング」
『クラウドファンディング』とはプロジェクトの立ち上げに賛同してくれる支援者・ファンの方から、必要な資金を出資してもらう方法です。
最近では、“開業資金調達”の選択肢として加わる様になってきました。
『エンジェル投資』という大きな会社向けの同じ様な制度は以前より存在しておりましたが、『購入型クラウドファンディング』の出現により、小さなお店でも支援者・ファンの方が出資してくだされば、資金を集められる様になりました。
お菓子職人は自己資金に乏しい
本気で開業するなら、自己資金は貯めてるはず。起業を起こすうえでの一般常識の様に言われています。
金融機関の融資も、それを前提に自己資金をベースに融資額が決まります。
現在は労働基準法など改正されたと共にお菓子職人のお給料も上がってきていますが、
私の修行時代からシェフになるまでの間では自己資金を貯めるれるような状態ではありませんでした。(修行時代は一人暮らしで手取り10万〜14万程でした。)
私の年代位までは、私の様な状況だった方も少なくはないはずです。
そんな方でも開業チャンスを得られるのが『購入型クラウドファンディング』だと思います。
クラウドファンディング利用例☟
購入型クラウドファンディングのメリット・デメリット
購入型クラウドファンディングのメリット
◉『日本政策金融公庫』や『銀行』の融資より資金調達へのハードルが低い。
◉資金の返済が“原則的には必要ない“(物やサービスでの返済が可能)
◉出資者との密な関係作りができ、熱いファン層の構築ができる。
◉『クラウドファンディング』への参加自体が宣伝になる。
◉自己資金がゼロでも挑戦できる。
購入型クラウドファンディングのデメリット
◉プロジェクトの公開後の中止は出来ない。
◉目標金額が出資されない(目標が達成されない)可能性もある。
◉出資者が複数の為、リターンの管理が複雑になる。
◉プロジェクトをweb上で公開する事により、アイデアを真似される可能性がある。
◉『クラウドファンディング』に参加し、開業が失敗した場合、信用を失う恐れがある。
◉『クラウドファンディング』への参加履歴がweb上に残る。(目標達成しなかった場合も)
クラウドファンディング利用例☟
リターンを考える
『クラウドファンディング』の出資の考えは、“援助“ではなくあくまでも“投資“としての出資です。
返済は必要かありませんが、プロジェクトが達成した暁には、品物やサービスでお返し(リターン)する事になります。
リターンの例としては
◉焼き菓子セットプレゼント
◉オープン記念パーティー出席券
◉お誕生日ケーキ○年間○%off券
◉1日プライベートお菓子教室
etc・・・
“リターンが出来ない”という事は許されません。必要に見合った目標金額と無理のないリターンの設定する必要があります。
プロジェクトには熱意が必要
『購入型クラウドファンディング』でプロジェクトを立ち上げた沢山の方が『開店資金』を集める事を成功させています。その中には、1000万以上の金額を集める事を達成させた方も存在します。
「プロジェクトを企画するなんて・・・。」
「自身がない・・・。」
という方でも、『クラウドファンディング』に登録すると、マーケティング戦略のプロの方がプロジェクトの方向性・ページのデザイン・宣伝の仕方など『プジェクトのアピールの仕方』をアドバイスをしてくれます。
しかし、必ず目標達成するとは限らず、プロジェクトを立ち上げる本人の熱意が重要となってきます。
成功するかもわからないプロジェクトや立ち上げる人の気持ちがブレてるプロジェクトには誰も出資したいとは思えません。
顔の見えない方にサイト上を通してプロジェクトに賛同してもらうという形式の為、
本気度の伝わる事業計画を練る事が大切になってきます。
自己中心的なプロジェクトでは無く、“多方面”からプロジェクトを見つめ、
自分が出資者だったらどういうプロジェクトに賛同したいと思うのか、出資者の気持ちになり考える必要があります。
資金の受け取り方は2種類
All or Nothing (達成後支援型)
出資を募集する期間内に目標達成額に到達した場合のみ資金支払われます。
目標が達成しなかった場合は全額返金され、資金を得る事が出来ません。(この場合は、リターンも発生しません)
金額が達成しなかった場合に、プロジェクトの資金の不足により開業自体が不可能な場合はこちらを選択します。
All in (即時支援型)
出資を募集する期間内に目標達成額に達し無かった場合も、目標金額に関係なく、支援して頂いた金額を得られる。
All inは出資金額が不足しているかの有無に関わらずプロジェクトを実行出来る状況(『クラウドファンディング』での出資金額が足りない場合でも開業できる状況)が整っている事が前提となります。
支援して頂いた方へのリターンは目標金額達成の有無に関わらず必ず行われる事が条件となります。
※出資して頂いた資金からはクラウドファンディング運営会社への手数料が差し引かれます。
出資金は商品購入と同等な為、消費税がかかってきます。
また、一定額を超えると所得税もかかってくる為、確定申告をする必要があります。
ファンが支えてくれ、更にファンを増やしていく
『SNSやブログ・noteは独立を決めた時点で始めるべき』と以前に書いた記事ですが、
『クラウドファンディング』のプロジェクトを立ち上げた際に既にSNSやブログ・noteでファンの方が付いてくださっていれば
こういったプロジェクトの目標達成も近いものになってきます。
また、『クラウドファンディング』を通してプロジェクトやあなたの存在を知る方もいます。
出資してくださる方はお店の立ち上げを楽しみにしてくださる方々です。
出資者が自ら出資して立ち上がったプロジェクトならば、余計に愛着感も沸いてくるものです。
そういった方々を、自分のファンとして惹きつける事ができたなら・・・リターンで満足感を与える事が出来たなら・・・
開業後にもお店の支えとなる熱心なファン層となってくださるでしょう。
『クラウドファンディング』は単に資金調達という面だけでなく、お客様と密にお付き合いが出来るきっかけ作りにもなり、精神的な支え(モチベーションのアップ)になるとも言えます。
まとめ
◉『購入型クラウドファンディング』は自己資金ゼロでも挑戦できる。
◉事前準備として早くからSNS・ブログ・noteでファンを増やそう。
◉リターンは無理のない範囲で満足度が高い構成を練る必要がある。
◉All or NothingとAll in、自己資金と相談してどちらにするか決めよう。
◉本気度が伝わらないプロジェクトでは目標達成は難しい。
◉単に資金調達という面だけでなく、お客様と密にお付き合いが出来るきっかけ作りにもなる。