菓子屋を開業する上でガス台の購入も考えなくてはなりません。菓子屋の作業は火力を利用することで、美味しいお菓子に仕上げることが出来るものが多数あります。そのため、お菓子やさんのガス台は業務用のガス台を選択しましょう。
菓子屋のガス台の用途としては、以下のようなものがあります。
- 牛乳を沸かす
- アングレーズを炊く
- カスタードクリームを炊く
- ジャムを炊く
- キャラメルを炊く
- パートドフリュイを炊くなど
業務用のガス台にも様々な形が存在します。結論から言いますと、ジャムやカスタードを炊くことがメインでガス台を利用するため、お菓子屋さんには激しい動きにも動じない『ガステーブル』がおすすめです。
また、ガス器具の設置にはルールがありますので、専門業者さんに設置を委託してください。では、それぞれの違いを解説して行きます。
業務用ガス台
業務用のガス台の種類
業務用ガス台には以下の4種類があります。
ガスレンジ
ガスレンジの特徴
ガスレンジはガスコンロの下にビルトインのオーブンが添えつけられているタイプ。料理に使うようなオーブンとガスコンロが必要な場合場所を取らずにスペースが使える為、レストランやカフェでは好まれて利用されています。
おすすめの業態
- レストラン
- カフェ
菓子におすすめではない理由
最近ではガスオーブンがコンベクションオーブンになった事で扱いやすくはなっています。しかし、オーブンの庫内は狭く焼きむらが出やすいことやクッキーなど量産したい商品の回転率が悪いため付属のオーブン自体はお菓子屋さん向きではありません。オーブンを使用しない場合は、コンロと一体型である意味はありません。
こんな方におすすめ
- 厨房のスペースが取れない方
- イートインで料理の提供もする方の料理用として
- デセール専門の業態
ガステーブル
ガステーブルの特徴
ガステーブルはガスコンロとテーブルが一体型になったガス台です。ガスコンロとテーブルが一体型になっている為、安定して作業する事が可能。
おすすめの業態
- 菓子屋
- 中華料理店など
菓子におすすめの理由
カスタードクリームなど大量に炊いたり、パワーが必要な作業にもガスコンロが動いたりすること無く安定して炊くことができます。
こんな方におすすめ
- 3リットル以上のカスタードやジャムを炊く予定の方
ガスコンロ
ガスコンロの特徴
ガスコンロはコンロ単独で、台の上に置き作業するタイプです。パワーを必要とする動作では、ガスコンロがズレてしまったりするため、静かに作業する業態向け。
おすすめの業態
- 小規模の菓子屋
- カフェ
- 小規模のレストラン
- 定食屋など
菓子におすすめではない理由
台の上に置き作業するため、カスタードクリームなど大量に炊いたり、パワーを必要とする作業では、ガスコンロがズレてしまったりするためお菓子屋さんを専門で運営する場合はこのタイプはおすすめではありません。
ガスレンジを選択する際の注意点
ガスレンジを選ぶ際はサイズに注意しましょう。大きなボールや鍋を使う場合、隣り合って使えるかどうか確認して購入してください。
こんな方におすすめ
- 1回のカスタードクリームを炊く作業が3ℓ未満の方。(3ℓ以上が炊けないという意味ではありません)
- 1~2人で運営する小さなお菓子屋さん
ガスコンロ鋳物
ガスコンロ鋳物の特徴
ガスコンロ鋳物はコンロ単独のタイプです。
おすすめの業態
- 小規模の菓子屋
- 小規模カフェ
- 小規模のレストラン
- ラーメン屋
- 中華料理屋
- 定食屋など
菓子におすすめではない理由
台の上に置き作業するため、カスタードクリームなど大量に炊いたり、パワーを必要とする作業では、ガスコンロがズレてしまったりするためお菓子屋さんを専門で運営する場合はこのタイプはおすすめではありません。
お菓子屋さんで見られる使用例としては、大きなミキサーを下から温める為に利用したりします。
内炎式・外炎式の違い
ガスコンロの燃焼方式には、内炎式と外炎式があります。通常業務用のガス台は内炎と外炎が両方ついており、コックで切り替えが可能です。
内炎式
炎が内側に向かって噴き出すタイプ。
内炎式のメリット
内向きの炎のため熱が逃げにくく、鍋底全体にムラなく当たり、効率の良い作業が可能。
内炎式のデメリット
- 外炎式に比べると購入価格が高くなってしまう。
- 構造上掃除に手間がかかる
外炎式
炎が外側に向かって噴き出すタイプ
外炎式のメリット
- 外炎式は内炎式よりも低価格で購入できる
- メンテナンスがしやすい
外炎式のデメリット
外向きの炎の為、鍋底から熱が逃げやすく非効率。
外炎式はこんな料理におすすめ
焼肉や鉄板焼きなどのプレート料理は外側にも熱が伝わりやすい外炎式がおすすめです。
外管式と内管式
内管式
着火
圧電点火式着火で、つまみを回すと自動で点火。
火力調節
- つまみで火力調整
- 外管式ほど細かい火加減の微調整はできない
安全装置
機種により異なりますが、安全装置が装備されている事が多い。
外管式
着火
ヘダーにノズル付のガス栓があり、そのガス栓を手動で空けてチャッカマンなどで点火。頻繁に使用する際は、種火をつける事ができます。
火力調節
- コックで火力調整
- 火加減の微調整ができる
安全装置
安全装置はついていません。
都市ガス・LPガス(プロパンガス)の違い
料金
熱量
使用機器
LPガス(プロパンガス)と都市ガスとでは熱量が2倍以上違うため、同じガスコンロを使用する事はできません。都市ガスの場合は、12A、13Aなど種類があり、それに伴いが使用機器が変わります。購入する際はガスの種類を確認をしてください。
LPガス(プロパンガス)用のコンロを都市ガスで使用
不完全燃焼から一酸化炭素中毒が起こる可能性があります。
都市ガス用コンロをLPガス(プロパンガス)で使用
コンロと炎の大きさが合わず、炎の大きさから火傷をする可能性があります。
ガスコンロの見分け方
都市ガス
付属するガスホースがベージュ色
LPガス(プロパンガス)
付属するガスホースがオレンジ色
今回紹介したガス器具
ガス機器の購入は設置業者から購入するよりネットの方が割安な傾向。
ガスレンジ
スペック
商品名 | ガスレンジ 3口 コンベクションオーブン |
メーカー | マルゼン |
型式 | RGR-0963XD (旧型式RGR-0963XC) |
外形寸法 | 幅900×奥行600×高さ800(mm) バックガード高さ 200(mm) |
使用面種類 | 片面式 |
トップバーナー数 | 鋳鉄製ユニバーサルバーナー 直径165mm×2、鋳鉄製ユニバーサルバーナー 直径95mm×1 |
コンベクションオーブン数 | 1 |
コンベクションオーブンバーナー数 | ステンレス製 プレスバーナー×1 |
コンベクションオーブン庫内棚段数 | 3段 ピッチ80(mm) |
コンベクションオーブン庫内有効寸法 | 幅420×奥行300×高さ320(mm) |
バット外形寸法 | 幅398×奥行280×高さ22(mm) |
ガス消費量 | 39.0kW(33,500kcal/h)、LPガス(プロパン) 37.2kW(2.67kg/h) |
ガス接続口(ユニオン) | 都市ガス LPガス共 20A(鉄管接続) |
製品重量 | 155kg |
付属品 | 焼網×2、バット×2、受皿取手×1 |
ガステーブル
スペック
商品名 | マルゼン NEW パワークック ガステーブル |
メーカー | マルゼン |
型式 | RGT-0973D (旧品番 RGT-0973C) |
外形寸法 | 間口900X奥行750X高さ800+バック200mm |
使用面種類 | 片面式 |
トップバーナー数 | φ190 2口 φ95 1口 |
ガス消費量 | 都市ガス/ 39.0kW(33,500Kcal/h) LPガス/ 37.2kW(2.67Kg/h) |
ガス接続口 | 25A |
製品重量 | 108 kg |
ガスコンロ
スペック
商品名 | タニコー 卓上ガステーブル(3口) |
メーカー | タニコー |
型式 | TMS-TGU-90 |
外形寸法 | W900×D600×H205 |
トップバーナー数 | φ75×1・φ180×2 |
ガス消費量 | 都市ガス:19.8kW 17,000(kcal/h)LPガス:19.55kW 1.40(kg/h) |
ガス接続口 | 20 (都市/LP) |
使用最大鍋寸法(径) | 小220(330) (都市/LP) |
製品重量 | 55kg |
ガスコンロ鋳物
スペック
商品名 | ファイヤースクリーンバーナー |
メーカー | マルゼン |
型式 | MG-270B |
外形寸法 | A557×B370×C374×D330×E115×H165mm |
トップバーナー数 | 1 |
ガス消費量 | [都市ガス]15.7kW(13,500kcal/h) [LPガス]15.7kW(1.13kg/h) |
ガス接続口 | [L3(4A・4B・4C)]15A [5C・L2(5A・5AN・5B)]15A [6A・L1(6B・6C・7C)]13mm(ゴム管口) [12A・13A]13mm(ゴム管口) [LPガス]15A |
使用最大鍋寸法(径) | Φ400mm以下の鍋 |
製品重量 | 15.4kg |
中古機器を探す
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中古機器を探すなら実店舗が全国に多数点在する中古業者。買取に検品が入る為、メルカリやヤフオク!で購入するよりかは安心感がある。オンラインショップができて、家にいても中古業者さんの扱う中古道具が購入できるようになったのは嬉しい。道具を追加購入する際もまず検索をかけてます。
業務用ガス機器の設置
業務用ガス機器には排気フードを
業務用ガス機器とは
- ガス消費量の総和が14kW以上
- ガスオーブンがある場合は21kW以上
- バーナーあたりのガス消費量5.8kW以上
排気フード
厨房設備に附属するフード及び排気用ダクトの基準
「厨房設備に附属するフード及び排気用ダクトの基準」(昭和60年8月26日消指導第115号、最近改正 平成4年7月1日消指導第104号)
ガス調理機器の排気量に見合った排気フードを設置しなくてはなりません。フードの形状によって必要吸気量が異なり、排気フード・グリースフィルターは排気が十分に行える能力が必要です。
排気が十分に行える能力を
『排気フード下端面積から計算した数値』と『ガス消費量から計算した理論廃ガスの数値』より大きな値以上の排気量をとる必要があります。
換気を取る
排気量に見合った給気を取る必要があります。有効開口の小窓や換気口を設けることが必須。
防火対策が必須
- 壁とレンジフードに間隔をとること
- 防火素材や下地を利用したレンジフード・壁・天井
消防法:仕上げ材だけでなく下地まで不燃材を使用し、12mm以上の不燃仕上げをしなければならない。
防火パネル
ガス器具周りの防火素材はキッチンパネルを選べば間違いありません。キッチンパネルについては以下の『内装制限と消防法。お菓子屋さんの厨房には何年経っても綺麗が保てるキッチンパネルがお勧め』詳しく解説しております。
業務用ガス機器には警報器の設置義務
業務用ガス機器には、一酸化炭素中毒を防止するために業務用換気警報器・CO警報器・ガスCO警報器のいづれかを設置する必要があります。
引用:経産省
設置場所
業務用換気警報器の設置場所
CO警報器・ガスCO警報器の設置場所
機材を守る保険
お菓子屋さんを運営していく上で、リスクに備える必要があります。
お菓子屋さんの抱えるリスクには以下の3つがあります。
- 店舗の建物・什器・商品に損害が発生するリスク
- お客様の身体・財産に損害を与え損害賠償責任を負うリスク
- 店舗が休業に追い込まれて売上が減少するリスク
建物が火災に遭った場合を補償する火災保険については、通常は不動産屋さんで進められる保険に加入する事が多いですが、そこが注意点です。
不動産屋さんは、貸しだす店舗が補償さえすれば良いと考えていますが、お菓子屋さんはそうではありません。
お菓子屋さんとしては、店舗・機材・商品・事業・お客様も含めて補償される店舗総合保険に入らなくてはなりません。それらの保険をバラバラに加入するよりも、一括して加入した方が割安になることも覚えておきたいポイントです。
火災保険を含む、店舗総合保険について店舗総合保険については以下で詳しく解説しておりますので、合わせてご参照下さい。
まとめ
- 業務用のガス台の種類は4種類
お菓子屋さんにはガステーブル使いやすい - 内炎式・外炎式
業務用は両方使える。 - 外管式と内管式
お菓子屋さんは内管式の圧電点火式着火が使いやすい。 - 都市ガス・LPガス(プロパンガス)
お菓子屋さんは都市ガスの火力で十分 - ガス機器の購入は設置業者から購入するよりネットの方が割安な傾向
- ガス器具にはレンジフードの設置が必要
- 設置は専門業者さん委託する
- ガス器具には警報器の設置が義務
今回は、お菓子やさんに適したガス台を紹介しました。お菓子屋さんの開業には他にも沢山の機材や道具が必要です。
開業に必要な機材が知りたい方は、以下の『お菓子屋さんの開業に必要な機材。私が揃えた機材はコレ!』にて私が揃えた機材を紹介しています。
また私が開業時に揃えた道具に関しては以下の『お菓子屋さんの道具一覧!開業時に購入した道具』で紹介しております。