漠然と物件探しと言われても、なにを基準に選んでいいか分かりませんよね?
家賃の安い物件にはそれなりの理由があり、高い物件にもそれなりの理由があります。
しかし、高いから良い、安いから悪いというわけでもありません。
人それぞれ予算があると思いますので、その予算と注意点、選択基準とを照らし合わせて、バランスの良い物件を選択しましょう。
『予算の考え方がわからない』という段階の方は資金計画を立てる所から始めましょう。
物件探しの注意点
家賃のバランス
素敵な物件を見つけると、多少家賃が高くても・・・。と、思ってしまうことがあります。
初期投資や固定費は長く続けて行く上でボディーブローの様に後から効いてくるので、
家賃と売り上げのバランスが崩れない為にも
『自分の事業計画の範囲内で最良物件を探す。』を、見失わないようにしてください。
商用で使用出来ないエリアがある。
住宅専用地域や市街化調整区域に指定されているエリアでは開業することはできません。
地域によって、住宅しか作れないエリアが存在します。
既に決まっている用途は「住宅」から「飲食店やその他の商売目的の施設」に変更できないので、そのエリアは除外して選びましょう。商用目的が可能なエリアは最寄りの役所で確認できます。
自宅等を改築して営業しようと思っている場合も、これらに当たる場合は、営業出来ない可能性があるので必ず役所で確認してください。
土地には住宅専用地域や市街化調整区域という、開業できないエリアが存在する。
物件探しの重要性
商売をするなら、より多くのお客様にご来店いただきたいと思うことでしょう。その為には、
『立地の良い場所がよい』よく耳にしますが、立地の良い場所とは一体どういう場所なのでしょうか?
お店のターゲットとする層の考え方は、ご紹介しましたが、下記の『お菓子屋さんの開業とコンセプトの決め方』で解説致しましたが、
ターゲットとする層が多く存在するエリアを考えた上で、以下の点を参考としてお考えください。
エリアの選定の参考点
◉人口や人通り・駅の乗降客数。
◉交通の便。(急行列車が止まる駅・ジャンクション駅など)
◉近隣住民の経済状況。
◉メインとなりそうなお客様の年代。(お客様層)
◉近隣に大型商業施設・学校・病院・観光地・オフィス街など集客率を上げる要因の有無。
◉競合店が近くにあるか。
物件全体の状況
インフラ設備の容量
電気の容量・ガス管・水道管・排水管の太さを確認してください。容量が少なかったり、管が細すぎたりすると、新設や容量増設が必要となり想定外のコストがかかってくることになります。
テナントには電気容量制限がある場合があります。お菓子屋さんの大きな機材によっては、動力が必要となってくるので、自分が使おうと思っている機材と合わせて動を利用する場合は電気容量を確認することをお勧めします。
私の店の場合、賃貸契約時点で物件に動力は入っていたのですが、
電子ブレーカーとガス管を太くする為に、100万円ほど初期費用が上乗せになりました。
『電子ブレーカーについて』は以下で詳しく解説しているのでご参照ください。
また、開業時に排水管までの知識がなかったので排水管を太くせずにお店を作ってしまいました。
固形物は流さないようにしていますが、それでも冬場になると排水管内に残っていた生クリームや小麦粉が固まり詰まってしまうことが多々あります。
そのため、年に何回か業者さんにお願いして排水管掃除をしていただいており、その度に経費がかかります。
最初に想定できていれば、少しは削減できていた経費ですので、物件探しの際は気をつけてください。
厨房設計を考える上では、排水管と同時にグリストラップの設置も欠かせません。
グリストラップとは、洗い物をした際に、厨房から出る排水に含まれる油(生クリームやバターなどの油脂)やゴミが直接下水道に流してしまい自然環境への悪影響を考えるのを防ぐシステムです。
飲食店の中でも、特にお菓子屋さんは排水管が汚れやすく、詰まりやすいと言われています。
グリストラップの解説は以下で詳しく解説しております。
本当に自分が借りたいと思えた物件は、インフラの整備も初期投資に加えた上で事業計画を練るようにしましょう。
物件の整備状況
建物の外壁に害虫やネズミなどが侵入可能経路がないか、必ず確認してください。
包材ストックを考えた上での物件の広さ、想像以上に包材のストックに場所をとります。
最初に計算に入れた上で物件を選ばないと、後で包材ストック用の物件を、別に借りなきゃいけないと言う事態に陥ることもあります。
お店の存在の見つけやすさ
看板やお店自体が、少しと離れた場所からでも見えるよう店舗だとお客様が見つけやすいです。
これからの時代
以前なら立地の良い場所を重視して店舗を選ぶ時代でしたが、
『ファンの獲得はなるべく早く始めるべきだ』と言う事を以下で解説いたしましたが、今はウェブの時代。
オープン前からSNS・ブログ等で宣伝・アピールすることで、店舗を持つ前からファンを獲得できるようになりました。
たくさんのファンを抱え、拡散力がついているのなら場所にこだわらなくても、
立地の良い場所から少しだけ離れた家賃の安い物件など、選択も広がってきています。
オンラインショップやイベント出店で経営する場合
立地にはこだわらずとも、先に述べた物件の状況に関しては同じように注意してください。
オンラインショップは梱包配送の作業が多くなるので、厨房だけでなく梱包作業ができるスペースを十分に取ることで作業効率が良くなります。
通常は運送業者は集荷に来てくれますが、梱包が間に合わなかったり、発送し忘れたりというトラブルが起こることもあります。
自分で配送センターに届けられる範囲の物件を選ぶと、なお良いでしょう。
まとめ
◉家賃(固定費)無理のない範囲で借りるが第一条件。
◉集客ができそうなエリアを選ぶ。
◉後で余計な経費がかからないように、物件の状況を確認。
◉店舗を持たない場合は家賃と利便性を重視。
◉店舗を持たない場合は、SNSでの事前集客が路面店より必要不可欠。
これから開業準備を始める方は、『 お菓子屋さんの開業手順(資金計画〜オープンまで)』で開業の進め方を詳しく解説しておりますので、あわせてご参照ください。