お菓子屋さんを開業する際に、大切だと言われている” ブランド・コンセプト “
” コンセプト “とは『概念・発想・構想』
自分のお店を開業する上で、お店の全体を貫く基本的な考え方の軸と考えるとわかりやすいかと思います。
コンセプトをしっかり持つ事で、自分がどういう思いで何を伝えたいのかを、お客様伝える事ができます。
では、その軸となるコンセプトはどの様な事に基づいて考えるかを解説します!
お菓子屋さん開業とコンセプトの考え方
お菓子屋さんを経営する上でコンセプトは重要な役割を発揮します。コンセプトは軸となり、軸がお店全体を動かしていきます。その軸がズレてしまうとスタッフもお客様も何を求めて良いかわからなくなってしまう為、最初にはっきりと決めておく必要があります。
コンセプトを考えブランディングをしていく手順は次のようになります。
①ターゲット層をイメージする
- 自分に何ができるのか
- お客様に伝えたい自分の思い。
- どんな人をメインにお菓子を販売したいのか。
- どういう方向性で開業したいのか。
②ストーリー(物語)を肉付けしていく。
- ターゲット層から割り出した、お店全体のイメージに物語を肉付けしていく。
③出来上がったコンセプトを軸にブランドイメージを作り上げていく。
①ターゲット層をイメージする
- 自分に何ができるのか
- お客様に伝えたい自分の思い。
- どんな人をメインにお菓子を販売したいのか。
- どういう方向性で開業したいのか。
この4つがベースとなります。まず、この4つを言語化できるように、しっかりと定めてください。
①-1自分に何ができるのか。
次に、どんな商品を並べたいかを選定してください。漠然とお菓子屋さんを開きたいと思っているだけでは商品イメージが湧いてきません。お菓子屋さんにあるべきだからといって、自分に自信のない商品や作ったことのないものを販売することはおすすめしません。
- 自信を持ってお客様に提供できるもの。
- これは食べて欲しいと思えるもの。
①-2お客様に伝えたい自分の思い。
ターゲットや作りたい商品が明確になったら次は想いを言語化していきましょう。例えば、以下の3つの考え方があったとします。
☑︎非日常を感じて欲しい。
☑︎気取らない、母の作ったようなおやつ。
☑︎自分の経験してきたフランス生活を感じて欲しい。
これらを踏まえて次のことを考えていきます。
①-3どんな人をメインにお菓子を販売したいか。
☑︎非日常を感じて欲しい。→ご褒美的な位置づけ。
=30代から50代の働き層
☑︎気取らない、母の作ったようなおやつ。→子供たちの日常的なおやつ
=20代から40代の子育て層
☑︎自分の経験したフランス生活を感じて欲しい。→本格的なお菓子
=年代を問わず好奇心旺盛で活動的な層
①-4どういう方向性で開業したいのか。
☑︎非日常を感じて欲しい。→ご褒美的な位置づけ。=30代から50代の働き層
例)➡︎ラグジュアリーな雰囲気のある店内、パッケージにもこだわり特別感を演出。
☑︎気取らない、母の作ったようなおやつ。→子供たちの日常的なおやつ=20代から40代の子育て層
例)➡︎かわいい感じの店内。パッケージも簡易包装で。
☑︎自分の経験したフランス生活を感じて欲しい。→本格的なお菓子。=年代を問わず好奇心旺盛で活動的な層
例)➡︎まるでヨーロッパにいるような店内。気を張らずに購入出来るが、本物を手にした満足感のあるようなパッケージ。
ここまでを、しっかりと言語化できるようになったら『ブランド・コンセプト』を考えていきます。
②ストーリー(物語)を肉付けしていく。
ブランド・コンセプトとは
先にも解説したように、” コンセプト “とは『概念・発想・構想』です。自分のお店を開業する上で、お店の全体を貫く基本的な考え方の軸が上記のターゲットを選定する過程で見えてきたかと思います。
そこから『 ブランド・ストーリー』を作り上げることで” ブランドコンセプト ” が、より明白なものになってきます。
②-1お店の全体像から『ブランド・ストーリー』を作り上げる
ターゲット層が見えてくると、お店の全体像が見えてきます。そこから、ブランドストーリーを肉付けしていきます。
自身の売りにしていきたい商品や事柄にストーリーを盛り込みます。これが、いわゆるブランド・コンセプトになります。
ブランドストーリーとは
ブランドストーリーとは、お客様に対しお店や商品の裏側を紹介する事で、イメージを膨らませてもらうための戦略です。
例えば、ガレット・ブルトンヌのを紹介するとしたら、以下の①・②のどちらのストーリーが、『食べてみたい!』と思うでしょうか。
① このガレットブルトンヌはフランスは本場ブルターニュ地方で採れたゲランド塩を使用しています。
② このガレットブルトンヌで使用しているゲランドの塩は、海塩100%で出来ているのでミネラル豊富。
1000年以上前から手作業で作られる伝統的塩で、日光と風の力のみで自然乾燥し、作られる添加物を含まず、自然の甘みのある天日製塩を使用しています。
物語(ストーリー)には人を惹きつける力があり、価値にもなり得ます。
同じ産地の塩でも材料の裏側にあるストーリーや製法を知ると、魅力的に魅せられ、惹きつけられたりします。勿論、材料だけでなく、以下の様に
- 製品の製造過程や思い入れ
- お店が開店するまで
- オーナーシェフである自分の経歴
共感に値するものであれば、何でも良いと思います。この『物語(ストーリー)』はお客様自身が購入する場合や誰かに贈り物をする機会に、価値として捉え、送り主に伝えることができます。そして、その価値はひとつのステータスとなります。
このように、お店の方向性に『ストーリー』を肉付けし、お店や商品の想い・背景などを伝える事が『コンセプト』になります。
お客様にお店や商品の背景(ストーリー)を伝える事で、コンセプトを理解して貰い、感情移入を促し共感を求めます。この理解や共感こそがブランディングには必要不可欠となります。
③コンセプトを軸にブランドイメージを作り上げていく
コンセプトが決まり、ブランドストーリーが固まったら次はブランドイメージを作り上げる事が経営戦略の第一歩となります。
小さなお菓子屋さんが価格競争に巻き込まれずに本当に売りたい商品が売れるような運営をするためには欠かせないステップとなります。
ブランドには以下の要素があります。
- 一貫性
- 期待・愛着
- 信用・信頼
- 品位・品格
それをひとつづつ組み立てる事でブランドイメージを印象付けていく事が出来ます。
『ブランディングの構成要素』でブランドの組み立て方を詳しく解説しています。
経営をイメージする
◉ 1人でやると決めた場合、自分だけで出来る範囲はどこまでなのか。
◉パートナーや、従業員を雇って経営することを考えた場合、人件費を含めた経営規模はどれくらいのか。
◉ターゲット層に合った地域は何処なのか。
◉ターゲット層に合った商品の販売価格はどれぐらいなのか。
◉実店舗が必要なのか、またはオンラインショップのみで経営していくのか。
◉どれくらいの規模の工房が必要なのか
◉販路をどのように拡大していくか。
その経営は1人でできるのか、またはパートナーが必要なのか
自分のやりたいお菓子屋さんのイメージと自分の現状をすり合わせる。
1人でやると決めた場合、自分でできる範囲がどこまでなのか。
やりたいことを盛り込みすぎると、自分の首を絞めることになります。自分の許容範囲を見極めましょう。たとえ規模を絞ったとしても、自分のやりたいことに近い事は再現できるかと思います。
パートナーや、従業員を雇って経営することを考えた場合、人件費を含めた経営規模はどれくらいのか。
人を雇うと言う事は、経費がかかってきます。それに伴い、売り上げも確保していかなくてはなりません。
1人で生産するための厨房のスペースでは、人件費を確保するまでの生産性は得ることは難しいです。雇う人数にもよりますがある程度、生産可能な規模を確保することが必要です。
厨房の規模大きくしたくない場合は、利益率を上げることや、レシピ販売、お教室の経営など販売の以外の収入源が必要となります。
コンセプトからターゲット層に合った地域を絞る。
☑︎非日常を感じて欲しい。→ご褒美的な位置づけ。30代から50代の働き層
➡︎例)銀座、丸の内、青山などブランド力のある土地。
☑︎気取らない、母の作ったようなやつ。→子供たちの日常的なおやつ。20代から40代の子育て層
➡︎例)子育て層の多い住宅街
☑︎自分の経験したフランス生活を感じて欲しい。→本格的なお菓子。年代を問わず好奇心旺盛で活動的な層
➡︎例)本物志向の方が多く住んでいる高級住宅街。
今はSNSやネットショップの時代!
場所に囚われすぎ無くても
『実力、コンセプト力、販売力、拡散力、etc…』
があれば場所は問わないで経営出来る可能性も!
お菓子屋さんの物件探しは気を付けなければいけないポイントがあります。
開業する地域がイメージ出来、物件探しをされる方は以下の『お菓子屋さんの物件探しのポイント』を合わせてご参照ください。
ターゲット層にあった、商品の販売価格帯はどれぐらいなのか。
それぞれのターゲット層にあった、許容範囲の販売価格帯の中で商品構成を構築しましょう。
実店舗が必要なのか、またはオンラインショップのみで経営していくのか。
実店舗を持ったときのメリット・デメリット、オンラインのみの場合のメリット・デメリット、それぞれを書き出し、自分の置かれた環境や状況にはどちらが合っているのか考える。
どれくらいの規模の工房が必要なのか。
ここまで考えてきたことを前提に、どれぐらいの規模の厨房やお店が必要なのか。厨房やお店のスペースの考え方は以下の『何坪必要?お菓子屋さん開業の店舗と厨房広さ。導線は何cm確保するべきか。』で詳しく解説しています。
お菓子屋さんは包材や、材料をストックするスペースが必要な事も忘れずに!
販路をどのように拡大していくか。
自分のイメージした経営方針の中で、どのような形で販路を拡大できるのかを、書き出してみる。
- 百貨店や、ショッピングモールへの出店
- SNSやホームページ、オンラインショップ
etc…販路の拡大方法を事前に考えておくことをお勧めします。
小さなお菓子屋さんの販売戦略
販売戦略=マーケティングとは、お客様が求めている商品を探り、
お客様が自発的に購入したくなる様な商品を提案し、お菓子やコンテンツが売れる仕組み作りをする事です。
コンセプトから起因するお店の一貫性を貫き、ブランド・イメージを形成した上で、販売戦略を立てるという仕組みを作る事が安定し、息の長いお店作りには重要になります。
マーケティングについては、以下の『小さなお菓子屋さんのマーケティング戦略』で詳しく解説しておりますのでご参照ください。
まとめ
◉ コンセプトとはお店の全体を貫く基本的な考え方の軸。
◉ コンセプトをしっかり持っていないと、ブレたお店になりお客様にも思いが伝わらない。
◉自分が得意とする事から、一つづつ広げてコンセプトを考えていく。
◉コンセプトから、出店場所を割り出す事も出来る。
◉オンラインショップを立ち上げる上でもコンセプトは勿論重要。
これから開業準備を始める方は、『 お菓子屋さんの開業手順(資金計画〜オープンまで)』で開業の進め方を詳しく解説しておりますので、あわせてご参照ください。