今回は、お菓子屋さんのケーキ箱や手提げを購入するときの注意点について綴っていきたいと思います。
独立開業して自分の理想のお菓子を作ろうと考えているわけですから、色々なアイデアが頭の中には広がっているかと思います。では、ケーキのサイズ・ケーキ箱や袋のサイズは考えていますか?
お店を開業しよう!でも、何からやったら分からない!という方は、『お菓子屋さんの開業手順(資金計画〜オープンまで)』で開業手順を詳しく解説しています。
箱や袋の購入する際の選択は2パターン
- お菓子を考えてから、お菓子のサイズにあう箱や袋を選択する。
- 箱や袋を選んでから、箱のサイズにあうお菓子を考える。
販売するお菓子を考える時、殆どの方が 『格好良く見えるお菓子』・『可愛く見えるお菓子』を重視して考え、後から箱を購入する事を考えているのではないでしょうか?
お菓子の形を優先して考え、後から箱や袋を購入する場合、色や形で選択してしまうと、
購入したはいいけど、無駄な使い方になってしまう事場合があります。箱や袋を購入する際は、1番にお菓子や容器のサイズを考慮し選択する必要があります。
オープン前で、やる事が多すぎる!
深く考えてるつもりでも、気がまわって無い事があります。包材を購入する際は、まとめて購入しなくてならない為、一度購入してしまうとそのロットがなくなるまで使い続けなくてはなりません。
では、その理由について詳しく解説していきたいと思います。
ケーキ箱・サービス箱の大前提
ケーキ箱・サービス箱とは
生菓子(カットされたケーキや小さいサイズのケーキ)を入れる持ち帰り用の箱のこと。箱には、他種多様な色や型・サイズが存在します。
私のお店では、1個箱・2個箱・4個箱・6個箱・8個箱・12個箱の7種類の箱を用意しています。
ケーキ箱はケーキの販売代金に含めて販売
お菓子を販売する際にお菓子に付随する包材(ケーキ箱・ケーキフィルム・金台紙・トレー・アルミ・エチケット・ピック・ココットなどの容器)はケーキの販売代金に含めて販売されます。お菓子の原価を計算する際はそれらの包材も含めた上で売値を判断する必要があります。
ケーキが1個購入された場合でも、5個購入された場合でも、箱に入れる事には変わりありません。つまり、5個購入された場合の方が箱のサイズは大きくなりますが、1個に対してかかる包材費は割安になることになります。
ケーキ箱・サービス箱を選択する際の注意点
デザイン重視で起きるトラブル
例えば、ケーキのデザイン(見た目)からはいるとこんな事が起きます。
以下のようにデザイン重視でお菓子を考えたと想定します。
■カードル型のカットケーキ(四角いケーキ)は細長いスタイリッシュな形にしよう!
➡︎ 縦に入れると4個入る箱に、細長くしたせいで横に入れなくてはならず、3個しか入らない。
■クレームブリュレは薄くて平たいココットで、可愛いくアイキャッチも重視!!
➡︎ 平いココットにしたら、面積が広いので4個入るはずの箱に1個しか入らない
■ヴェリーヌグラスは細長いタイプが映えるよね!
➡︎ 背が高すぎて、倒れやすい!また、箱とグラスのサイズがギリギリすぎて高さを出したデコレーションができない!
ショーケースの並んでいると凄く素敵に見えるケーキも、箱に入れて持ち帰る所迄考えて構成しなくてはなりません。
それを怠ると、折角綺麗に作ったお菓子がお客様か持ち帰った時には壊れてしまっていたり、入る箱がなくてサイズの大きい箱を使わなくてはならなくなったりします。
箱とケーキのサイズが合わない事で起きる損害
1つの箱にケーキが1個しか入らないのか、4個入るのかでは、最終的に手元に残る利益がかわってきます。
『デザイン重視で考えたお菓子+何も考えないで購入した箱』
この2つが重なってしまうとケーキが想定してた箱に入らず大きな箱を利用しなくてはならない!というトラブルが起きます。
箱代が嵩張る分、ケーキの原価がどんどん上がってしまうと、手元に残る利益が減ってしまいます。このことが積み重なることで、経営が圧迫されてしまいます。
箱を選ぶときの考え方
前にも記載しましたが、箱を選ぶときの考え方には以下の2パターンがあります。
- お菓子を考えてから、お菓子のサイズにあう箱や袋を選択する。
- 箱や袋を選んでから、箱のサイズにあうお菓子を考える。
お菓子を考えてから、お菓子のサイズにあう箱や袋を選択する。
お菓子は見た目も大切です。お菓子のデザインは販売する上で重要な役割を持つ場合もありますが、そこばかりに重視してしまうと、包材費ばかりかかってきてしまいます。
どうしても作りたいケーキのサイズ感が決まっている場合は、ケーキと箱のサイズをすり合わせて、妥協点を見出していく事でお店のお菓子の標準サイズを決定しましょう。
箱や袋を選んでから、箱のサイズにあうお菓子を考える。
ケーキのサイズやデコレーションを大前提に進めてしまうと経費圧迫というトラブルが起きてしまいます。箱や袋を選んでから、そこに入るサイズでケーキを考え事で、経営的にうまく回りやすくなります。
新規オープン時は特にデザイン重視にしたくなる気持ちも分かりますが、長く経営して行く上で包材費の積み重ねは、大きな負担になってきます。デザインも経費削減も両方頭の中に入れて考えていきまょう。
箱のサイズを決定させてからケーキのデザインを考えて、経費を削減◎
手提げを選択する際の注意点
箱のサイズを前提に袋を選択
サイズに関しては、先に述べたケーキサイズと同じ考え方です。
ケーキ箱の『 縦・横・高さ 』を考慮した上で、各箱のサイズに合わせて手提げ袋を選択しましょう。私のお店では大・中・小の3種類の手提げ袋を用意しています。
焼き菓子ギフト箱と併用する際場合の手提げ袋の考え方
***焼き菓子のサイズとギフト箱のサイズ***
① 円筒ケースやガス袋・ジャム瓶などの、嵩張るお菓子のサイズを決定する。
② 詰め合わせにした際を想定し、嵩張るお菓子が複数入った時にピッタリ入るギフト箱を決定する。
③ その箱が入るサイズの手提げ袋を選択する。
④ 容器に入るサイズの焼き菓子を開発する。
詰め合わせの箱(ギフトボックス)も、大・中・小とサイズがあると、販売価格に差がつけられ、お客様に提案しやすくなります
これらの工程を行うと、無駄なスペースが出来たりせず、すっきりと綺麗に見えるギフト箱や袋のサイズが決まります。
オリジナル手提げの作成は必要か?
私のお店ではブランド構築の為、ビニール手提げ・紙手提げともにオリジナルのものを用意しています。普段遣いのものはビニール手提げを使用し、箱入りのギフトや、バースデーケーキを紙手提げで対応するといった感じです。
正直、私のお店の規模にとっては、 ロットがものすごく大きく負担 です。オープンの時に全種類作ってしまったのですが、まだまだ使い切れないサイズもあります。汗
ロットが大きいと言う事は、小さなお菓子屋さんでは使い切るのに時間がかかる上。 それをストックするスペースの(包材たちの家賃)も必要になってきます。
サイズは決め打ちで作成する
だからと言って、オリジナルの手提げが必要なかったかと考えるとそういうわけではありません。包材には沢山使うサイズと殆ど利用しないサイズがあります。
『1万円~2万円用のギフト箱、それ用の紙袋』は『千円~3千円用』に比べたらはるかに出番が少ないです。出番の多いギフト箱や手提げ袋はオリジナルを作る価値があります。
しかし、出番の少ないギフト箱や紙袋はオリジナルを作るのではなく、既製品の良い素材のものを小ロットで購入するなど、という対応のほうが適切だったように思います。
プラスチック製レジ袋の有料義務化
2020年7月1日よりプラスチック製レジ袋の有料義務化が始まりました。それに伴い、お菓子屋さんに置いても手提げの問題が出てきました。
コストの面で ビニール手提げより、紙手提げのほうがはるかに高額 です。
紙手提げに関しては有料義務化では無いのですが、『ビニール手提げが有料なら紙手提げが欲しい』と、すべてのお客様がビニール袋よりコストのかかる紙手提げなってしまうと経営が成り立たなくなってしまいます。
箱入りの焼き菓子とバースデーケーキを購入されたお客様意外は、ビニール手提げも紙手提げも有料化にしました。有料化が浸透し、お客様自身がエコバックをご持参いただけるようにもなってきました。
私の店では 、これに伴い オリジナルのビニール手提げは在庫がなくなり次第廃止 しようと思っています。
初期投資は抑えたい時は
オリジナルシールで対応
お店のロゴの入ったオリジナルシールは手提げを作成するよりも、遥かに低コストで場所も取りません。ラクスルを利用するとオリジナルシールが作れます。
小ロットで購入出来る紙手提げに貼って対応する事で、包材の為のスペースにかかる家賃も払わなくてすむので、トータル的に経費削減ができます。ただ、シールを貼る手間がかかってしまう事は計算にいれてえきましょう。
オリジナル包材を作る際は、数が増えれば増えるほど1枚あたりの単価は下がってきます。使いきれる自信のない方はプリンターを利用し、1枚からシールを作ることも出来ます。ある程度、使いきれる自信がついてから、ラクスルなどに発注するのも賢い選択だと思います。
『1枚からシールをプリントする手段』を以下で詳しく解説しておりますので、合わせてご参照ください。
スタンプで対応
お店のロゴの入ったスタンプを判子屋さんに依頼して作ってしまえば、紙手提げにぽんぽん押すだけ。前にも述べたように手間がかかってしまいます。
私のお店では、接客中にお客様が商品を選んでる隙間時間にお客様の様子に目を向けながらシール貼やスタンプ押しをしています。
まとめ
◉ 最初にお菓子を自由に作ってしまうと、箱や袋に入らなくなり包材費が嵩張ってしまう。
◉ 出番の少ない箱や手提げは既製品にシールやスタンプで対応
◉ 包材費は包材にかかる費用だけでなく、それを保管する費用(包材のための家賃)も考慮しなければならない。
お店を運営して行く上で、準備段階からコンセプト設定やブランディングを行い、他店と差別化を行っていくことで、小さなお菓子屋さんでも運営がうまく進むようになります。
お店の運営についてのマーケティング戦略は以下で詳しく解説しています。