今までのお菓子屋さんは、低賃金・長時間労働でした。
新規開業をしたくても、資金が無い方は沢山存在します。そこで、多くのお菓子屋さんが利用しているのが、『 日本政策金融公庫 』です。
大きな理由のひとつとして、『 日本政策金融公庫 』は銀行に比べ、融資が受けやすいすいと言われているからです。
融資審査が通るには1にも2にも信用が大切です。信用を獲得するポイントには以下のものがあります。
- オーブンやミキサーなどの設備投資が多い
- 自己資金が豊富
- 今までのパティシエ経験や経営に関わる経験が豊富で継続が見られる。
- 事業計画書など、提出書類の精度が高い
- クレジットや借入金などの信用情報に傷がついていない。
今回はこれらについて解説して行きたいと思います。
融資を検討しているが、その先どうしたら良いか分からない!という方は、『お菓子屋さんの開業手順(資金計画〜オープンまで)』で開業手順を詳しく解説しています。
日本政策金融公庫
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日本政策金融公庫
政府が100%出資する政策金融機関。
信用・信頼とは返済能力
この記事で解説する5つのポイントはすべて、返済能力の判断基準です。
金融機関としては融資した資金をしっかりと返してもらう必要があるため、融資をする相手に返済能力がきちんとあるかどうか、信頼できる相手かどうかを判断しています。
返済能力をどうアピールするかが重要
審査にはいくつか決まった提出書類があります。それらの書類と面談で融資が判断されます。つまり、審査をクリアする為には、その書類と面談のみで説得力を持って返済能力をアピールすることが重要です。
融資審査を通過する為の5つのポイント
- オーブンやミキサーなどの設備投資が多い。
- 自己資金が豊富。
- 今までのパティシエ経験や経営に関わる経験が豊富で継続が見られる。
- 事業計画書など、提出書類の精度が高い。
- クレジットや借入金などの信用情報に傷がついていない。
ポイントの要点
①オーブンやミキサーなどの設備投資が多い
融資額や使い道を明確にする事。
設備資金は、コストを掛けた結果がすぐに経営状況に反映されるわけではありません。『ミキサー』・『オーブン』・『冷蔵庫』・『冷凍庫』など、導入した場合、それらの機材を利用してお菓子を製造し、商品が売れて、利益になるまで時間がかかります。そのため、設備資金としての融資の返済期間は長く設定されます。
何に使われるか不透明になりがちな運転資金に比べ、設備投資は使用目的が、はっきりとしている為、融資が受けやすくなります。つまり、設備資金として融資を受けるほうが借入れ金額を多めに設定できる可能性が高くなります。
どんな機材を導入するか、まだ考えていない方は以下の『お菓子屋さんの開業に必要な機材。私が揃えた機材はコレ!』で私の導入した機材を紹介していますので、参考にしてみてください!
②自己資金が豊富
第三者がモチベーションや計画性を理解する術は自己資金。
融資審査に通過するには信用・信頼が大切だと延べましたが、『自己資金が豊富』ということは、開業にむけての本気度が高いと評価されます。軽はずみな発想ではなく、そこに向けて準備をしてきているのだと認識され、信用・信頼に繋がる為です。
したがって、自己資金が多ければ多いほど、融資してもらえる額も多くなり、審査に通過する可能性も高くなってきます。自己資金は、コツコツと通帳に残る形で積み上げていく必要があります。
③今までのパティシエ経験や経営に関わる経験が豊富で継続が見られる。
事業の将来性を計るため、経営・計画・販売力・技術力の経験基盤があること
過去に全く経験のない事業を始めるよりも、経験やノウハウを持っている方が事業を始めるにあたり、成功確率は高くなるからです。また、それらの経験も継続性があることで、信頼に繋がります。
④事業計画書など、提出書類の精度が高い
数字に根拠のある事業計画
開業する上で事業計画はとても重要です。資産項目をしっかり洗い出し、融資審査を行う方からでも納得いくような計画を立て、それらの数字に根拠があることが重要です。
その為には、根拠となる資料をきちんと提示することが大切です。資産計画の項目については以下で詳しく解説しておりますので、合わせてご参照ください。
⑤クレジットや借入金などの信用情報に傷がついていない。
信用情報を傷つけない様に日頃から気を付けて生活する必要がある
信用情報とは、クレジットカードやローンの支払い遅延や、自己破産、債務整理等の情報です。融資を受ける際に、信用情報が審査基準に大きく関係してきます。
たまたま1回だけ遅延があったという程度であれば、理由を説明することで審査の影響を防ぐことが出来るケースもあります。しかし、基本的には、信用情報に問題がある場合、融資が難しくなります。
信用情報の積み上げ方は『信用を積み上げよう!お菓子屋さん開業準備/銀行口座とクレジットカード』で詳しく解説しております。
商工会議所へ相談
融資の申し込みに伴う悩みや疑問を持たれた場合には、商工会議所へ相談することをお勧めします。商工会議所では事業計画の書き方のセミナーなども開催しています。
『自己資金もない・・・』『保証人がいない・・・』『担保がない・・』『信用情報も傷ついてしまってる・・・』そんな方でも、どなたでもチャレンジ可能なのがクラウドファンディングです。クラウドファンディングについては以下の『お菓子屋さんの開業資金調達!時代は購入型クラウドファンディング!』で詳しくかいせつしています。
融資に纏わる自己資金
自己資金とは
経営者自身が貯めた資金であること。また、生活資金は含まれません。
自己資金として認められないお金
タンス預金は認められない
通帳などで客観的に確認可能であることが条件となり、タンス預金は認められないため、銀行預金に切り替え入金実績を積み上げてください。
見せ金は認められない
見せ金と言って創業時に一時的にお金をかき集め、融資が降りたら返すという手口も発生しています。
まとまったタンス預金を融資申請前に、一気に銀行に入金すると、見せ金と判断されてしまう事があります。その場合、「いつ誰から入金されたのか」確認が行われます。
借りたお金は自己資金として認められない
親兄弟や知り合いから借りた資金はめ、自己資金としてはみなされません。(返済義務があるため借入金となります。)
贈与により譲り受けた資金は自己資金として認められます。この場合は、贈与契約書を締結して、「返済不要である」ことを証明する公正証書が必要です。もちろん、年間110万円を超えた場合、贈与税の支払いも義務になります。
自己資金が無くても融資の申し込みは可能
自己資金が無い場合でも利用が可能です。しかし、自己資金が無い場合は原則として、担保や保証人が求められることになります。自己資金のない場合には新創業融資制度を併用する事は出来ません。
自己資金の目安
一概には言えませんが、資金総額に占める自己資金のおおよその目安は、平均で3割程度必要と言われています。
融資制度の自己資金確認方法
通帳原本の入出金情報にて自己資金の確認が行われます。
単純に資本金=自己資本になるわけではなく、資本金を集める過程や開業資金の通帳などから判断されます。
これは日本政策金融公庫に限らず、何処に融資を依頼する場合でも通帳の提出が必要となります。
通帳は半年〜一年前位まで遡って見られます。
融資が決定するまでどれくらいかかるか
融資までの手順
申し込みから融資が決定するには以下のような手順を追います。
- 融資の相談
- 必要書類の作成
- 申込書・必要書類の提出
- 面談
- 融資の契約
- 融資の実行
融資の細かい手順を以下で詳しく解説しています。提出書類のダウンロードもこちらから
融資決定までの期間
③の申込書・必要書類の提出から融資決定までおおよそ3週間程度と言われています。
※融資の条件によっては、時間がかかる場合もあります。
開業場所が決定していないと融資は申し込めない
開業場所が未定だと、資金計画が定まらず、収支計画においても立地条件等を踏まえた売上予測や経費予測が立てられないため、創業計画が固まらないことになります。
つまり、出店地の目途が立たないと融資の申し込みはできません。
物件と融資の申請は同時進行
物件契約と融資申請の手順
- 物件の目途を立てる
- 物件を抑えて貰う
- 融資を申し込み
- 融資の通過
- 物件の契約
物件の目途がたったら、不動産屋さんに融資の審査が通るまで、物件を抑えて貰えるかどうか確認しましょう。契約を行ってしまうと、もし融資が通らなかった場合でも、家賃は発生してしまいます。
また、仮に融資が通らず、資金の見通しが立たない為に物件の解約になってしまったとしても、解約料が発生してしまいます。貴重な開業資金が減ってしまわない様、物件契約のタイミングに気をつけましょう。
物件探しをしている方は、気を付けなくてはいけないポイントがあります。物件は重要な選択です。下記の『物件探しのポイント』に気を付けて焦らず店舗を探しましょう。
店舗を持つか悩んでる方は以下の『お菓子屋さん開業には店舗が必要?【店舗を持たない販売方法】と【店舗を持つメリット・デメリット】』を参考にしてみてください。
お菓子屋さんが開業時に融資を依頼しやすい制度
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
日本政策金融公庫の融資制度では創業者向けの融資として新規開業資金と女性、若者/シニア起業家支援資金の2種類があります。
お菓子屋さんの創業もこれに当てはまり、多くのお菓子屋さんがこの制度のどちらかを利用して創業しています。
新創業融資制度とは?
『新規開業資金と女性』『若者/シニア起業家支援資金』で融資を受ける方で新創業融資制度の要件をクリアすれば、無担保・無保証で融資を受ける事が出来ます。
必要書類の作成
個人の申込時に必要になる書類
新創業融資の申し込みには、次の書類が必要になります。見落としが無いように注意しましょう。
融資申し込みに必要な書類ダウンロード一覧はこちらから
- 本人確認書類
- 創業計画書
- 借入申込書
- 設備資金の見積書
- 企業概要書
- 事業計画書
- 月別収支計画書
※創業していない場合には、申告書や決算書などは必要ありません。
申込書・必要書類の提出【申し込み方法】
申し込みに必要な書類を揃え、下記にいづれかの方法で申し込み書を提出。
- 最寄りの支店で直接申し込み
- 郵送で申し込み
- インターネット申し込み
面談時に持参する書類
融資担当者との面談時には事業をもっと良く知るために追加で資料を要求される場合があります。次のような資料を用意しておくといいでしょう。
- 本人確認書類
- 資金を証明するも
- ローンの残高状況の分かるもの
- 固定資産税評価証明書または課税明細書
- 店舗などの賃貸借契約書
- 源泉徴収票
※上記6点の詳しい解説はこちらから
まとめ
① 日本政策金融公庫は政府が100%出資する政策金融機関で、銀行よりも融資が下りやすいため、多くのお菓子やさんが利用している。
② 自己資金が無くても利用が可能。しかし、自己資金が無い場合は原則として、担保や保証人が求められる。
③ 自己資金のない場合には新創業融資制度を併用する事は出来ない。
④融資の審査が通過しやすくなる為の5つのポイント
- オーブンやミキサーなどの設備投資が多い。
- 自己資金が豊富。
- 今までのパティシエ経験や経営に関わる経験が豊富で継続が見られる。
- 事業計画書など、提出書類の精度が高い。
- クレジットや借入金などの信用情報に傷がついていない。
④ お菓子屋さんが開業時に融資を依頼しやすい制度
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
⑤『新規開業資金と女性』『若者/シニア起業家支援資金』で融資を受ける方で新創業融資制度の要件をクリアすれば、無担保・無保証で融資を受ける事が出来る。
⑥ 融資までの手順
- 融資の相談
- 必要書類の作成
- 申込書・必要書類の提出
- 面談
- 融資の契約
- 融資の実行
- 本人確認書類
- 創業計画書
- 借入申込書
- 設備資金の場合は設備の見積書
- 企業概要書
- 事業計画書
- 月別収支計画書
- 本人確認書類
- 資金を証明するも
- ローンの残高状況の分かるもの
- 固定資産税評価証明書または課税明細書
- 店舗などの賃貸借契約書
- 源泉徴収票
融資の申請をお考えの方は同時にファンの獲得をスタートさせましょう。『独立開業を決めた時!小さなお菓子屋さんのファン獲得はオープン前から始めるべき理由。』は、以下で詳しく解説しておりますので、合わせてご参照ください。